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「性犯罪者にGPSをつけろ」論の間違い。厳罰化だけでは防げない

性障害者と共生しながら犯罪を起こさせない政策を

 福井氏は決して、性犯罪者の厳罰化に反対しているわけではない。なぜなら、「そこは精神科医の私が関与することではないから」。  そして、ドイツの刑法学者・フランツ・フォン・リストという刑法学者の言葉——「最善の刑事政策とは最善の社会政策である」を引きながら、インタビューの最後をこう締めた。 「今の日本は『起こったことにどう対処するのか』という、刑事政策のもっとも単純な議論に止まっている。しかし、大事なのは犯罪防止のために、治療も含めて、どんな社会政策をしていくのか考えることです。  厳罰化の議論もいい。同時に治療についても議論もする。出所者の就労の困難さが再犯につながるのなら、職業訓練や仕事の紹介について検討する。格差や貧困がさまざまな犯罪を生んでいるのであれば、そうしたことひとつひとつに政策を打つ。  考えるべきは、セーフティーネットを張り巡らし、彼らとの共生、彼らが犯罪を起こさない社会をどう作っていくのかということです」 福井裕輝氏【福井裕輝氏 プロフィール】 精神科医。京都大学工学部・医学部卒業。法務省京都医療少年院などを経て、2010年「性障害専門医療センター」を設立。政府の性犯罪関連プロジェクトにも多数参加、著書に『ストーカー病』など <TEXT/鈴木靖子>
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