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あなたの信念が本物か見分ける方法

「信念」はエピソードと主張でできている

 思考の根拠は合理性です。一方、信念の根拠はエピソード、つまり過去の逸話です。自分は過去にこういうことがあったから、これをするのだという想いです。たとえば私が自己啓発について人に伝えるようになったのは、以前ニコニコ動画で配信していた動画がきっかけです。バリスタの第一人者である横山千尋さんのカフェが地元にできたので、そのお店のエスプレッソについて動画でレビューしたところ、たまたまご本人の目に留まり、「この動画は自分がやりたいことを全部説明している。うちに来るお客さんは、みんなこの動画を見てから来てほしい」と評価していただけました。  これをきっかけにして、私は自分の考えを人に伝えるようになりました。「日本におけるイタリアンカフェの草分け的存在に認められたのだから、もう少し自分の考えを話してみてもいいだろう」と思えた時のことは今でも鮮明に覚えています。それから積極的に色々な人と話すようになって、「あの時の選択はやっぱり正しかった」と思える瞬間がこれまでに何度もありました。  信念の特徴はこの「やっぱり」です。「やっぱり」は過去にその根拠がある時に使う言葉です。普段の生活や仕事で「やっぱり自分はこれなんだ」と思えれば思えるほど、それができるようになります。「こうした方がいい、ああした方がいい」といくら合理的に考えても上手くできずに悩んでいるなら、まずは自分の過去に根拠を見つけましょう。単なる思いつきが上手くいくほど世の中は甘くありませんが、自分に理由を見つけられれば次第に上手くできるようになります。  もちろん自分の信念となるエピソードはひとつに限りません。私が自己啓発を扱うのは、中学生の頃から自己啓発書を愛読していたからです。また「人間関係は鏡だ」と言い切れるのは、これまでにお受けしたたくさんの相談から至った確信があるからです。そのエピソードまで話しているとキリがないので割愛しますが、経験した過去の出来事から一つ一つ信念を拾い上げて信念体系を作り上げると、自然と自分の未来が見えてきます。それこそがその人の生きる道です。信念は「逸話(過去)+主張(未来)」でできています。  たとえば私の自己啓発法「星を辿る」のコンセプトは「トンビが生んだタカになれ」です。社会の不幸な因習を打ち破り、一族の不幸な因縁を断ち切るのが、この世に生を受けた人間すべての使命だと考えています。「カエルの子はカエル」で終わっていたら、いつまでも親の代と同じ不幸を繰り返すだけです。そして、自分らしく生きて、幸福を増やすために自己啓発があります。  もちろんこれは私だけのビジョンです。しかし、ビジョンというものは自分だけのものだから原動力になるのです。お金が欲しいとか異性にモテたいとか「そんなの誰でもそうに決まってるよ」というビジョンでは、塵一つ動かせません。自分を働かせるのは、自分の過去と、そこから生まれる自分の未来が見えている時だけです。その時、初めて過去と未来の中心点として「今」を生きられるようになります。これがすなわち「できる」ということです。  能力的にできることであっても、信念という土台がなければできません。思考が不要だったり間違っていたりするのではなく、自分の信念の上でなければ現実として芽吹かないのです。自分の信念を無視した行動は、アスファルトの上に種を蒔くのと同じです。まずは自分の思考パターンを記録して、そこに共通する信念という土壌を見つけましょう。あれこれと考えるのはそれからです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

人生を変えるマインドレコーディング

人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

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