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一年を振り返ることはなぜ必要なのか?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第82回  人は振り返りによって成長します。ただ経験したり、繰り返すだけでは成長できません。その経験について「AとはBだ」と総括するからこそ、同じことが起きた時に上手く活かせます。その「AとはBだ」という定義が信念です。 振り返り 信念は理屈ではなく、自分の「今」と「過去」の結びつきによって生まれます。ある女性は八百屋で見かけた栗を買って、自分で栗ご飯を作りました。一時間かけて栗の皮を剥いて作った栗ご飯は、今まで食べた中で一番おいしい栗ご飯だったそうです。 「高校生くらいから母の作ってくれたものを拒否したりしていたことを思い出して、申し訳ない気持ちになったり、それ以上に感謝したりしました。どれほど想って食事を用意してくれていたかも。栗の皮を剥きながら色々な思いを辿ることができました」  料理を通して、そうした過去の記憶が蘇ったそうです。まるでマドレーヌを浸した紅茶から幼少時代の記憶が甦って始まるプルーストの小説、『失われた時を求めて』です。そして人の心を動かす信念は、こういう瞬間に生まれます。  彼女の体験を信念としてまとめるなら、「料理は家族の絆」だと言えるでしょう。この定義は辞書には載っていません。辞書に載っているのは、「材料に手を加えて、食物をととのえ作ること」という一般的な定義です。しかし、そうした一般的な定義は動機になりません。自分の過去と今が結びついた瞬間に、人の心は震えます。その振動こそが人間の動機です。行動には感動が必要です。  だからこそレシピが載っているだけの料理本では料理を始められるようにはなりません。「始める」という意味の「料理ができる」と、「上手くなる」という意味の「料理ができる」は異なります。上達には専門的な知識や技術が役立ちます。しかし何かを始められるようになるきっかけは、個人的な体験です。これは料理に限りません。勉強も仕事も運動も一緒です。  このように信念は自分の「今」と「過去」の結びつきから生まれます。ただ、「今」という時間には複数の単位があります。「今日は色々あったなぁ」と心を巡らせる時は、一日が「今」になります。「今月は色々あったなぁ」と心を巡らせる時は、一ヶ月が「今」になります。「今週」も「今月」も「今季」もどれも今です。
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