更新日:2019年04月17日 13:11
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「ふるさと納税」でAmazonギフト券を返礼品にした泉佐野市長、総務省の規制に大反論

ふるさと納税制度は財政再建の「切り札」

――多くの収入を望めない自治体にとって、ふるさと納税制度は財政再建の「切り札」になるということか。 千代松:私が市長に就任した2011年には、寄付額は600万円ほどしかありませんでした。そこで、ほかの自治体に先駆けてさまざまなアイデアを捻り出し、3年前に34億7000万円を集めて全国8位に、2017年度は135億円の寄付を頂戴し日本一となりました。 当然のことながら、右肩上がりで実績を出せたのは職員の努力の賜物です。2013年頃から、「ふるさと納税三種の神器」という言葉に象徴されるように「肉」「カニ」「コメ」といった強いコンテンツを持っている自治体に寄付が集中し始めたが、これに危機感を抱いたのが地場産品資源の乏しい自治体でした。 私たち泉佐野市も、関西国際空港で使えるピーチポイント(ピーチ航空)など、オリジナルの返礼品を考案して、強い地場産品のある自治体に対抗しなければならなかったのです。 ――ピーチポイントも「金銭との類似性が高い」ため排除される可能性が指摘されている。 千代松:ピーチポイントは、関空の町・泉佐野市にとっては、全国シェア第2位の泉州タオルと並んで町の誇りとも言える返礼品です。長年低迷していた関西空港は、LCCのお陰で経営を軌道に乗せることができました。 地域問題を解決するための足がかりになれば、ふるさと納税の本来の趣旨にも叶いますし、ピーチポイントで関空を盛り上げて、地元の観光経済に貢献したい一心でやっています。総務省から「金券」に準ずる返礼品は一律切り捨てると命じられても、関空の町・泉佐野市としては、丁寧にその意義を訴えていく以外にないと考えています。 ――6月から、ふるさと納税は返礼品を「調達額の3割以下」の「地場産品」に限定し、総務省の認めた自治体のみ制度に参加できる、とのお達しが出された。 千代松:以前から返礼品の何割を上限とするかについては議論があったが、当時の野田聖子総務相が「自治体に任せる」と言っていたので、泉佐野市は5割のまま続けてきた経緯がある。ただ、その時点で泣き寝入りした自治体は、寄付額が落ち込みました。 つまり、総務省に対して自治体がどんな姿勢で臨むかで、新たな格差が生じたわけです。私たちは総務省の言うことも納得いくものについては歩み寄ってきました。ですが、制度の本来の趣旨は自治体間の税収格差を埋めることだったのに、新たに「地場産品に限る」という規制をかければ、“持てる自治体”と“持たざる自治体”の格差を広げるのは必至です。 地場産品の定義を総務省が決めるというのも恣意的ですし、全国の自治体を抑え込もうとする姿勢は地方分権を逆行させているに等しい。
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横浜市は100億円を超える税収が「流出」
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