更新日:2023年03月21日 15:49
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東大の卒業式・入学式でスピーチする御仁の資格と品格/倉山満

大河内は恩師・河合と縁を切り保身に走った

 言論の自由、学問の自由、大学の自治……当時の帝国憲法下で認められた権利をことごとく侵害する気満々だ。いかなる屁理屈を言おうが、本音は「河合、ウゼー、メンドクセー」にすぎない。  これに対し河合は、「筋の通らない処分をされるくらいなら、こっちから辞めてやる!」と辞表を提出した。河合門下の東大教員は全員が、師匠に従い辞表を取りまとめる。
河合栄治郎氏

左右の全体主義者の両方の間違いを指摘して孤軍奮闘した、故・河合栄治郎氏

 ところが、大河内は河合の弟子のクセに辞表を撤回、平賀総長にワビを入れて、地位を守った。恩師の河合と縁を切り、保身に走ったのだ。  その後の河合は著書の発禁処分を受け、裁判で有罪判決を受け(当然、まともな裁判ではない)、収入の道を絶たれたまま、昭和19年に無念の死を遂げた。後世の人は、「もしあと1年生きていれば、せめて文部大臣になり、敗戦後の日本を立て直してくれただろうに」と惜しんだ。  生き残った大河内は出世している。  果たして、保身のために筋を曲げた大河内に、命を懸けて正論を訴えた古代ギリシャの哲人・ソクラテスを語る資格があるか? 申し訳ないが、東大教授などブタでもなれるということだ。

上野千鶴子名誉教授はイイことも言っているが…

 先日から、フェミニスト社会学者で知られる上野千鶴子東大名誉教授の入学式でのスピーチが、ネットで話題になっている。大手サイトの見出しだけ見ると、イイことを言っているような錯覚を感じる。東大のHPで全文を読んだが、確かに部分的にはイイことを言っている。特に、見出しにもなっていた「がんばっても、それが公正に報われない社会があなたたちを待っています」との発言に共感を得た人も多いだろう。そこだけ聞けば、私も共感する。  しかし、「他に問題があるけれども、あの人はイイことも言っている」でリベラルの諸君が許すならば、発想がアホシュと同じだ。多少の問題は構わないが、限度がある。
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上野名誉教授の「スピーチでやってはいけないこと」3つ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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13歳からの「くにまもり」

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嘘だらけの日独近現代史

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