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陛下よりも、首相の方にこそ、「退位」が必要ではないのか?/倉山満

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

今回の譲位に際して最も大事なことは何だったのか?


令和

4月1日、首相官邸で、新元号「令和」を発表する菅義偉官房長官。新元号発表を行ったことで、ネット上などで「令和おじさん」として話題になっているが……(写真/時事通信社)

 安倍内閣の皆々様は、何が大事なことなのか、さっぱりわかっていないらしい。

 元号公表前の情報管理は完璧だった。「令和」の元号が漏れることはなかった。情報漏洩阻止を、内閣の至上命題としたのだろう。ただ、それだけだ。

 できて当たり前の極めて低い目標を設定して、他の大事なことがどうなろうと意に介さない。少しでも批判する者は、敵認定する。最近の安倍内閣の姿勢は、夜郎自大になっていないか。

 公表前に「令和」を秘匿しきったが、その後は“ダダ洩れ”である。報道される例だけでも、「他の五案がすべて新聞の一面を飾る」「落選案の発案者がインタビューに答える」「閣僚の所見が伝わってくる」「有識者会議で令和だけ解説文が長かった、と書かれる」等々。平成の際にはありえなかったことが、発表1週間ほどで行われている。

 報道を見ているだけでも、今の内閣が「令和」をゴリ押ししたのがよくわかる。山中伸弥先生らが参加した有識者会議の議論で元号が決定したなど、政治や行政を知らぬ者の謬見(びゅうけん)である。有識者会議とは、「政府の見解に権威を与える会議」のことである。事前に政府の本音を伝えた上で、その結論にもっていく。そういう八百長ショーを崩さない人だけを集めた会議なのだ。

 今回の元号の事前公表に関し、決められた結論にも、途中のやり方にも反対なのだが、安倍内閣は令和の2文字が事前に漏れなかったので褒めてほしいとでも思っているのだろうか。

 元号のみならず、今回の譲位に際して最も大事なことは何だったのか。この40年間、政府解釈として通用してきた「天皇ロボット説」の打破だったはずだ。

 天皇ロボット説とは、東大法学部教授だった宮澤俊義が唱えた説で、「天皇はめくら判(※原文ママ)を捺すロボット」だとの説だ。単に憲法学の権威ある教科書に書かれているのみならず、時の内閣法制局長官の答弁によって政府見解となってきた(1975年11月20日参議院内閣委員会)。

 それに風穴があいたのが、2016年8月8日の、天皇陛下の玉音放送(いわゆるビデオメッセージ)だ。

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