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枝野ある限り、安倍自民党は安泰なのではないか?/倉山満

枝野ある限り、安倍自民党は安泰なのではないか

 前置きが長くなったが、今日の本題は皇室の話ではない。野党の体たらくによって救われている、安倍自民党のことだ。  まだ幻想を抱いている人は、「安倍晋三首相は、さすがに女系だけは受け入れないのではないか?」と考えるかもしれないが、私は信じない。  6年前の参議院選挙で、安倍自民党は圧勝した。衆議院選挙、東京都議会議員選挙に続き圧勝だった。アベノミクス絶頂期で、戦後誰もなしえなかった内閣法制局人事にも介入。誰も安倍首相に逆らえない真の意味で「一強」のはずだった。  ところが、時の財務事務次官木下康司の号令により、瞬く間に安倍内閣は包囲された。木下の号令に官僚機構はもちろん、自民党の9割、公明党のすべて、当時最大野党だった民主党の幹部全員、財界三団体、労働界、主要新聞とテレビ局が従い、安倍首相に消費増税8%を押し付けてきた。  これに安倍首相はみじめに屈服、よりによって10月1日に増税を宣言。この日は中華人民共和国の建国記念日だ。案の定、増税を実施した半年後から景気は失速、黒田バズーカをもう一度打ち直してアベノミクスはなんとか回復したが、緩やかな景気回復如きしかできず、今に至る。  安倍首相は今度の参議院選挙で勝ったとしても、「女系」「女帝」「女性宮家」を押し付けられたときに抵抗できるかと言われれば、「全く信用できない」と答えざるを得ない。だから、「女系を阻止するために安倍内閣を応援しよう」という声には背を向けざるを得ない。  そんなことよりも、安倍内閣には守護神がいる。立憲民主党代表の、枝野幸男さんである。枝野ある限り、安倍自民党は安泰なのではないか?  安倍自民党は、消費増税10%と憲法9条改正を公約に掲げた。普通なら選挙で負かしてくださいと言わんばかりの態度だ。さすがの自民党も政策集に小さく載せているだけだ。こんな与党に勝てないなら、野党は永遠に負け犬だろう。これ以上の戦機があるのか!?  ところが枝野氏は勝つ気が無いらしい。建前では「今は急がず地盤を作る」などと嘯いているが、本音は過去に自分をいじめた他の野党への復讐だろう。  小沢一郎氏などは月刊誌で、「枝野首相の為に何でもする。今は野党が結束しよう」と呼びかけているが、選挙まで約1か月。それができたとて間に合うのか。

自民党などとっくに賞味期限が切れている政党なのだ

 ただ、政界の一寸先は闇、1か月の間にシーソーゲームをくりかえすなど珍しくない。たとえば「人生いろいろ選挙」では与野党の支持率が二転三転した。また、絶大な勢いがあった希望の党が、たった2日で失速したのは記憶に新しい。  真面目に考えると、どこにも選択肢が無いとは、情けない政治だ。なぜ、こうなったのか?  そもそも自民党は、ソ連の侵略に対抗するために結成された政党だ。ソ連は当時の野党第一党の日本社会党を使って、日本に浸透しようとしたが失敗した。自民党が社会党を飼いならしたからだ。最初は自民党の反対党だった社会党は、いつの間にか自民党からカネを貰ってやられ役を演じる政党となった。  社会党のようなド~しようもない政党が野党第一党に居座ってくれればマトモな野党の進出を阻止できる。そうなれば自民党の政権は、永遠に安泰だ。社会党もそれで良しとし、両党の談合は続いた。  選挙を何度やっても自民党が勝つなら、どんな出鱈目をやっても許される。自民党は自分でモノを考える力が無いので、政策は官僚に丸投げだ。増税を推進する財務省、女系を推進する内閣法制局に。  ソ連があった時代ならいざ知らず、自民党などとっくに賞味期限が切れている政党なのだ。そんな政党を倒せる勢力が無いのが、日本の病理なのだ。  現状での最適解は一つ。決められない政治に戻せ! 日本を悪くする政治よりはマシだ。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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