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「一強」と言われる安倍内閣は、一体どんな実績をあげたのか?/倉山満

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

比べるのは酷だが、戦後の歴代総理と比べても極端に見劣りする

安倍晋三首相と米国のドナルド・トランプ大統領

4月の訪米時、ゴルフを楽しむ安倍晋三首相と米国のドナルド・トランプ大統領(写真/時事通信社)

 新帝践祚(せんそ)。初めての国賓(外国からのお客さん)は、アメリカのドナルド・トランプ大統領となった。日ごろは「トランプ内閣の外務大臣」として忠勤に励んでいる安倍晋三首相は、かいがいしく接待に励んでいた。  ちなみに、践祚とは天皇が位に就くこと、即位とは位に就いた事実を内外に示すことである。今の法律用語では、本来の践祚が即位、即位が即位式とされているので、「即位」の意味がズラされている。占領期に勝手に用語を変えられて今に至るのだが、安倍首相もこれを本来の伝統に戻す気は無いらしい。  なお、報道では「新天皇即位」の文字がしつこいので、私は勝手に言い換えている。「新天皇」は「新帝」、「即位」は「践祚」。だから「新天皇即位」とは言わずに「新帝践祚」と勝手に使っている。政治家や官僚は内閣法制局が決めた法律用語に逆らえないが、私は気にしない。  政権に返り咲いた当初は「戦後レジームからの脱却」と勢いが良かった安倍首相も、そんな昔の話は忘れてしまったのだろう。

安倍内閣はいまだ何の実績もあげていない

 安倍内閣は「一強」と言われながら、史上最長の政権になろうとしている。では、どんな実績があったのだろうか? 日清戦争に勝った伊藤博文や日露戦争に勝った桂太郎と比べるのは酷だが、戦後の歴代総理と比べても極端に見劣りする。吉田茂は、サンフランシスコ講和条約で占領下におかれていた日本の独立を取り戻した。佐藤栄作は、その後も占領されたままだった小笠原と沖縄を取り返した。  これから安倍内閣は、伊藤、桂、吉田、佐藤の歴代内閣を抜いて史上最長となろうとしているのだが、いまだ何の実績もあげていない。「北朝鮮拉致でも北方領土でも、なんでもいいから成果を出したい!」などと思った瞬間に相手から足元を見られるのが外交だ。そして案の定、舐められている。  経済にしても、吉田内閣は敗戦からの復興を軌道に乗せたし、佐藤内閣は戦後最高の経済成長を達成した。この面でも負けている。

中曽根内閣の劣化コピーと評すべきか

 ちなみに、「戦後政治の総決算」を掲げた中曽根康弘は、当時のアメリカ大統領のロナルド・レーガンと「ロンヤス関係」と呼ばれる同盟関係を構築したが、ただそれだけだった。それでも、経済はバブルだったので、安倍内閣よりはマシかもしれない。  むしろ安倍内閣は中曽根内閣の劣化コピーと評すべきか。中曽根は、アメリカ・ソ連・中国・韓国と周辺諸国に気を使い、ひたすらご機嫌取りに務めた。また、防衛費1%枠撤廃を掲げて、毎年のように「1.004%だから勝利!」「0.097%だから敗北!」などと、バカ騒ぎを繰り広げていた。アメリカ以下自由主義陣営諸国が「2%など最低限度の数字」と防衛努力をしていた時に。

媚びとアピールの「安倍外交」の実態

 今の安倍内閣も、アメリカ・中国・ロシア・北朝鮮に気を使い、ひたすらご機嫌取りに務めている。中曽根と同じだ。  何より重要なのは、防衛努力の欠如だ。トランプは政権就任当初、日本に同盟国としての義務を求めてきた。これは戦後のアメリカの対日政策の根本的な変更だ。歴代アメリカ政権は、「無視」「抑え込み」「猟犬として使う」だった。ところがトランプの対日政策は「対等の仲間」だった。すなわち、東アジアで脅威となっている中国・ロシア・北朝鮮と対抗するために、日本が地力をつけて仲間になってほしいと。  トランプは第二次大戦後の秩序を根本的に覆そうとしている。その根幹は、「人を殺してはならない」という価値観が通じない国を甘やかさないことだ。ヨーロッパをはじめ、世界中の国は中国かロシアと妥協して生きているので、トランプの行動に冷たい。  そんな中で、安倍首相はトランプにも媚びつつ、「日本は二度と大国に戻りませんよ。安心してください」とのアピールを忘れない。本気で世界の秩序を変革する側に回ろうとはしない。「安倍外交」の実態など、その程度だ。  経済だって、6年も政権を独占しながら、「2年で実現する」と公言していた景気回復がいまだに達成できない。
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この総理大臣で我慢しろと言うのは、情けない話だ
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嘘だらけの日独近現代史

世界大戦に二度も負けたのに、なぜドイツは立ち直れたのか?





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