更新日:2023年03月21日 16:21
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秋篠宮家バッシングは陰謀か?「愛子天皇」待望論者のカンちがい/倉山満

皇居二重橋

皇室を考える大原則は三つ。先例、男系、直系だ。この順番を間違えてはならない

 明治以来、改元の年には政変がある。既に、不穏な空気が漂っている。  日本が日本であるとはどういうことか。皇室が存在することである。公称2679年、一度も途切れることなく皇室は存在してきた。昨日と同じ今日を続けてきた。これを明日も続けるかどうか。13歳の少年にのしかかっている。命の危険にさらされながら。  新帝践祚直前の4月26日、悠仁親王殿下がお通いになる中学校で事件が起きた。賊が教室に侵入し、殿下の机に刃物を置いていった。  皇室の歴史を少しでも知っている者なら直感したはずだ。殿下を脅迫している、と。「お前は皇位を辞退しろ」との脅迫だ。  これは散々、藤原氏がやり尽くした手口だ。藤原氏は権力を維持するために、あらゆる手段で意に添わぬ天皇を引きずりおろした。また、皇太子の地位も、拝辞させた。三条天皇などは藤原道長に痛めつけられて遂には失明にまで追い込まれ、退位を余儀なくされた。刃物を突き付けるなど序の口、日本を亡ぼしたい勢力は今後も悠仁親王殿下に圧力を加え続けるだろう。  昨年から、秋篠宮家バッシングが勢いを増している。同時に、女系・女帝・女性宮家への流れを作ろうとしている。きっかけは「お婿さん問題」だが、本質は違う。皇位を秋篠宮家に渡さない陰謀だ。

「女帝」と「女系」の違いもわかってない

 現状では、天皇の皇位継承順位第一位は秋篠宮殿下、第二位は悠仁親王殿下だ。何十年後か、悠仁親王殿下が即位あそばされた暁には、これまで一度も例外なく守られてきた男系継承は続く。問題はその時に他の皇族がいなくなるので御世継問題が重要となるのだが、それは別の話。  ところが、悠仁親王殿下がおわすのに「愛子天皇」待望論を唱える輩が後を絶たない。一知半解の論者が「女帝は先例があるから良いではないか」などとゴリ押しするが、そういう問題ではない。  皇室を考える大原則は三つ。先例、男系、直系だ。この順番を間違えてはならない。  仮に「愛子天皇」が実現したとしよう。かつて「即位を男女で分けず年齢順とすべし」との提言がなされた。それに従えば、悠仁親王殿下の皇位継承順位は、「愛子天皇」が実現した場合は眞子内親王と佳子内親王に次ぐ第三位に落ちる。のみならず、愛子天皇の次の皇位はどうなるのか? 同世代の四人のどの系統の方が継がれるのか?  仮に「愛子天皇」のお子様が継がれたとしよう。皇位の直系は愛子天皇の家系に移る。配偶者が民間人の場合、その子が継げば王朝交代である。これが女系天皇だが、こんなことが許されるなら弓削道鏡は称徳天皇と結婚して、自分の子供を天皇にすればよかったことになる。皇室の歴史では一度も許されなかった先例破りだ。こういう掟を無視するから、女系論は論外なのである。女系論者は、先例と男系を無視して、直系だけ言うから意味不明になる。
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秋篠宮家から皇位をとりあげようとする陰謀だ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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