前述の香川さんに再度確認したところ、やはり宗教的な知見も、妊娠しやすい体質になるための知識も全くないという。唯一自信満々に語るのは、自分に「霊感がある」ということだけだ。 「昔から霊感が強いんですよね。オーラが見えるんですよ、オーラ。だから、ボランティア的にアドバイスをしているだけ。お金がかかるのはパワーを注入するのに体力を使うし、お守りだって実費がかかるし……」（香川さん） 　追求すればするほど、なぜか言葉がどんどん尻すぼみになっていくのも気になるところだが、こうした商品を複数のフリマアプリで販売することにより、月に数万円の収益を上げているという。香川さんの指示のもと、香川さんの妻も妊娠菌お守り、妊娠菌メッセージカードなどを販売し、やはり数万円を稼いでいるという。 　実態としては商売なわけだから、販売した商品にはそれ相応の責任を持たなければならないはず。それがアドバイスだろうが占いだろうが、である。コンサルでも占い師でも、適当なことばかりやっていれば評判は下がり、客は減るだろう。しかし香川さん夫婦は、顔も実名も出してはいない。直球に「詐欺まがいではないのか？」と聞いてみると……。 「あなたがそう思うのならそう思っていてくださいよ。私のお客さんはみんな幸せになっているのですから。科学ばかりが進歩して、こうした“気持ちの部分”に思いを馳せられなくなったから世界がおかしくなっているんです」（同） 　香川さんの独自見解だから仕方ないと思うのだが、数日後には香川さんのアカウントが綺麗さっぱり消えていたことから、一体どう結論を見出せばいいのか。科学が進歩し、様々な情報で溢れている今、人が“気持ちの部分”にすがりたくなるのもわからなくはない。だからこそ、それで小銭を稼ごうという輩には注意した方がいいだろう。＜取材・文／山口準＞新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。