お金

花火大会や海水浴場の落とし物がお宝に。メルカリに出品し小遣い稼ぎ

花火大会の後はお宝があちこちに

 東京の金脈はこれだけではない。金ではないが、これからの季節はお宝を草むらで見つけることもできるという。会社員のNさんは、花火大会トレジャーハンターを自認する、この道20年のベテランだ。 「大学生の頃、多摩川の近くに住んでいて花火大会後に散歩していたら財布や携帯などが落ちていたんです。これは……と思い、すぐに懐中電灯を持っていったところ、携帯、財布、現金、ピアスやネックレスなどを拾いました」  警察に届けたところ、財布と携帯の持ち主が現れただけ。 「東京はいろんな花火大会がありますが、河川敷で行われる花火大会が一番いいですね。草の間に落ちたり、踏まれて泥だらけになったお札は、夜だとなかなか見分けがつかなくなるんです」  Nさんは現金だけで最高2万円近く拾ったこともあるという。だが、近年は運営組織が人を雇って清掃するなど、状況はやや厳しいようだ。では、もっと効率よくお宝をゲットできる方法はないだろうか。そのヒントを探るべく、記者は和歌山に飛んだ。

金属探知機を片手にうろつくアヤシイ男

 和歌山県南紀白浜海岸を奇妙な機材を手に、歩き廻るグループがいる。彼らが担いでいるのは金属探知機だ。夏に海水浴客で賑わう白浜海岸はコイン、指輪、ネックレスなど「宝の山」だという。砂に埋もれた貴金属を金属探知機を駆使して効率よく収集する、現代のトレジャーハンティングなのだ。

金属探知機を手に浜辺を散策するAさんたちは現代版トレジャーハンター

 ゲットしたお宝は、もちろん遺失物として警察に届け出て、3か月待って落とし主が現れなければ晴れて自分のものとなる。落とし主が現れることは、まずない。  難点は「アヤシイ」ことで、警察や警備員に職質されることもしばしば。しかし最近は「清掃ボランティア」と間違われ、「ご苦労さまです」と声をかけられることもたびたびだとか。探知機にヒットする半分以上は、空き缶や鉄くずで、それらはまとめてゴミ箱へ。お宝探しは社会貢献にもなっているのである。キャリアの長いAさんに話を聞いた。 「5年前に、酔っ払ったイキオイで、金属探知機を買っちゃったんです。数日後に荷物が届いて、『こんなの買ったっけ?』って。しばらく放置してたんですが、試しに近所の公園でやってみたら、江戸時代の古銭がザクザク出て……。すっかりハマっちゃいました」  そう言って笑うAさんの指には、シルバーの指輪がズラリ。もちろんすべて“お宝”である。

浜辺で見つかったお宝の数々。指輪、金貨のペンダント、硬貨。なかには仏像など、珍しいものが見つかることも……

 探知機でヒットする半分は鉄くずだが、残りの半分はコイン。稀にブランド物の指輪やネックレスが出てくる。文字通り「掘り出し物」である。これらの宝飾品は主にメルカリに出品するという。  Aさんによれば、真夏の週末、行楽客が押し寄せた直後が狙い目で「一日5000~7000円は稼げますよ」というから、ちょっとした小遣い稼ぎである。和歌山県の白浜海岸でこの成果ならば、人の多い東京や近郊の海岸ならもっと……。想像するだけでお台場や湘南の浜辺に飛んでいきたくなる。実際、Aさんたちが手にしている金属探知機も近年、売り上げが伸びている。北海道小樽市の輸入販売業者、MJDインターナショナルによれば、「定価は3万~45万円で、性能によって異なりますが、15万円程度のものが売れ筋です」とのこと。  タンス、河川敷、浜辺……お宝は、あなたの身近な意外な場所に眠っているのかもしれない。

東京・多摩川で砂金の採掘に挑戦!

 多摩川で砂金が採れるのをご存じだろうか。調べてみると多摩川沿いの狛江や昭島、御嶽などの河原では、今でも砂金が採れるらしい。多摩川の源流には、かの「武田の隠し金山」があったとも言われている。そこで記者も試しに掘ってみることにした。場所は奥多摩湖の上流だ。  金は比重が鉄の約2倍、砂礫の6倍も重いので、水の中では真っ先に沈んでしまう。このため屈曲した川の内側や、流れが弱まった“トロ場”などの岩の下に溜まることが多いとされる。ここと覚しき大岩の下から土砂を掻き出し、水の中でパンニング(揺すって金を採る方法)する。すると比重の重い砂金は沈んでいく。上澄みの土砂を捨て、さらにパンニングをすれば砂鉄や砂クロームなど、比重の重い鉱物だけが残る。これを注意深く観察してみると……おお! あった! 小さな砂金が数粒、顔を出したではないか。

金が見つかったときの喜びはひとしお。(※許可を取って採掘しています)写真/釣り人社

 しかしここで冷静に考えてみる。土砂を掘り返す労働力、交通費、時給にすればたったの数円。これでは大赤字である。だが、清流の中で気持ちのよい汗をかいて金が手に入ることを考えれば、レジャーとしてはかなり楽しいはずである。もちろん国有地での砂金採掘は、管轄する都道府県の建設事務所に事前に届出る必要があるので注意しよう。 取材・文・撮影/中村茂大
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