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楽天・三木谷会長が苦悩する「楽天モバイル」と「送料無料」問題

 3月3日、楽天は4月に本格参入する携帯電話サービスの料金を、大手キャリア3社の大容量プランに比べて半額以下となる月額2980円(税抜き)とすると発表した。東京23区、大阪・名古屋市など自社が通信網を整備したエリアでは「データ使い放題」とし、2年縛りの契約も途中解約時に発生する違約金もないという。  最大の“目玉”は先着300万人を対象とした1年間無料キャンペーンで、通話回線の利用には30秒につき20円の別料金がかかるが、楽天の三木谷浩史会長兼社長は「衝撃的な価格だ」と自画自賛するお披露目式となった。 楽天モバイル<楽天vs3大キャリア大容量料金プラン> ●楽天モバイル 月額2980円 容量 無制限(楽天の基地局に接続時) ●NTTドコモ 月額6980円 容量 60GB ●au(KDDI) 月額7840円 容量 無制限 ●ソフトバンク 月額7480円(3月12日~) 容量 50GB(2GB以下で割引)  当初、楽天は利用者が携帯会社を乗り換えやすかった昨年10月の改正電気通信事業法施行のタイミングで参入を目指していたが、基地局の整備が遅れて延期……。半年の遅れを取り戻すべく、サービス開始に先駆けて無料試験サービスも実施したが、昨年12月には約2時間40分にわたり電話が繫がりにくくなるトラブルが起きたほか、今年2月にも大阪・名古屋市の一部エリアで通信障害が発生するなど課題は山積していた。 「(携帯料金は)4割程度下げる余地があるのではないかと思う」  ’18年8月に菅義偉官房長官が予見した“未来”は、楽天の新規参入を機に現実のものとなるのか? ケータイ/スマホジャーナリストの石川温氏が話す。 「『データ使い放題』で月額2980円のインパクトは大きい。ただ、三木谷会長が掲げる『携帯電話サービスの民主化』という理想とは裏腹に、今回、楽天が打ち出した料金プランは穴が多いと言わざるを得ない。楽天モバイルの自前の基地局は、東京23区をはじめ大都市にしかありません。  それ以外のエリアではau(KDDI)の基地局を借りるローミングという方式でカバーしており、こちらの通信量の上限はわずか2ギガバイト。上限を超えると動画をスムーズに見られなくなるなど、通信スピードが格段に落ちますし、auと楽天モバイルのどちらの回線に繫がっているのか判然としないためユーザーのイライラ感は募るはず。快適なネット環境を維持するには1ギガ=500円の追加料金がかかるので、月額料金はほかの大手キャリア3社とさほど変わらなくなる」  楽天モバイルは、サービス開始までに4000の基地局を設置する目途が立っており、今後6年かけて全国で2万7000にまで増やす計画だという。だが、大手キャリア3社を見ると、ソフトバンクは23万、ドコモとauもそれぞれ20万超の基地局を抱えており、全国どこでも繫がるネットワークを構築する予定が今のところない楽天モバイルにとっては厳しい船出となる。  そんななか、ソフトバンクが3月27日から次世代移動通信「5G」の商用サービスを開始すると正式発表した。かねてより、auは3月から、ドコモも春から実用化するとしており、高速・大容量通信時代の幕開けとなるが、こちらに関しても楽天モバイルの出遅れ感は否めないようだ。石川氏が続ける。 「楽天モバイルも6月に5Gのサービス開始を予定しています。楽天内部からは『4Gで大手キャリア3社と戦うのは厳しいので5Gで勝負を懸ける』という声も聞かれるが、先行きは厳しい。なぜなら、先ごろソフトバンクが5G用の基地局を新たに設置しない方針を発表したように、もうすぐ、既存の基地局で5Gへの対応が可能になるため、もともと基地局が少ない楽天モバイルの不利な状況は変わらないのです。  2年前、『4割程度下げる余地がある』と発言した菅官房長官の真意は、楽天の新規参入によって値下げ競争を引き起こそうという目論みでした。だが、楽天の新料金プランに真正面から対抗するキャリアはいないはず。1年間無料でも繫がらなければ意味がないわけですから……。今後、大手キャリア3社は繫がりやすさのアピール合戦を始めると見られ、楽天に値下げで対抗する可能性は低い」
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もう一つ大きな難題
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