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「おい上瀧……!」進入違いは自分が納得できる理由探しだ<江戸川乞食のヤラれ日記S>

<江戸川乞食のヤラれ日記S>=ここでは昔の話をしよう・1=

 それはまだ、ボートレースが競艇と言われていた時代の話。  夏が来れば思い出す、江戸川真夏のSGこと大江戸賞とモーターボート記念。大江戸賞に関しては別の機会に話させていただくとして、今回はもう一方のモーターボート記念、平成15年(’03年)8月31日の第49回モーターボート記念優勝戦の話を取り上げる。  この年の開催はいい意味でも悪い意味でも最初から最後まで地元唐津の上瀧に注目が集まった。  というのも、2年前の平成13年(’01年)上瀧の地元唐津で実施された第11回グランドチャンピオン決定戦競走(現・グランドチャンピオン競走)の優勝戦で植木道彦の2着に敗れ、地元SG優勝を逃したリベンジ戦、そしてこのひとつ前のSG開催、蒲郡の第8回オーシャンカップ競走優勝戦では1号艇でスタート控えて勝ち損ねたあげくに6着、レース後のインタビューで「唐津が控えてるんでスタートいけなかった」という旨の敗因を述べていた。  じっさいそのコメントが起爆剤になっていたのか、予選道中の走りはほとんどのレースが気迫に満ちていて、結果優勝戦まで危なげなく駒を進めてきた。  優勝戦当日のこの日、自分は旅打ちでボートピア大郷(現・ボートレースチケットショップ大郷)に来て朝からグラチャンを打っていた。  地方のボートピアは、そこに来場する客のほとんどが地元のファンばかりなので、流れてくる会話の中にはその地方の方言が遠慮なく飛び交う。  それらの言葉を耳にし、個人的には悪趣味の部類だとは思っているが、その地方の方言独特の罵倒語などいわゆる『汚い言葉』が生で聞けて耳にも楽しく、それが全国24場レース場巡りとは違う地方のボートピア巡りの楽しみのひとつだと思っている。  初めて訪れた場所ではあるが、鉄火場独特の雰囲気はどこも変わらず、すんなりと周囲に溶け込め、江戸川本場でよく会う『名前知らぬが顔なじみ』的な常連客たちとの付き合いと同じ感覚で、レースごとの喧喧囂囂の持論や、それぞれの展開予想、取ったヤラれた的な話やうんちくを地元のファンとともに繰り広げた。 平成15年(’03年)8月31日 ボートレース唐津 SG第49回モーターボート記念競走(現・ボートレースメモリアル)12R優勝戦 1 田中信一 30歳 大阪 A1 2 上瀧和則 35歳 佐賀 A1 3 松井 繁 33歳 大阪 A1 4 今垣光太 33歳 石川 A1 5 濱野谷憲 29歳 東京 A1 6 今村 豊 42歳 山口 A1 (級別・年齢は当時)  さて、優勝戦の枠順は上瀧の2枠。当時から強烈な前ヅケ屋として売っていた上瀧が2枠3枠ならば、ここもインを狙ってくるだろうというおおかたのファンの予想通り、前日の優勝戦出場選手インタビューでも上瀧は「(優勝戦は)インから行く、絶対勝つ」と宣言していた。  この言葉を聞いたほとんどのファンの頭の中では、明日の優勝戦は上瀧が1コースを取り、起こしが何メートルからであろうとトップスタートを切って堂々と逃げ切り勝つ、そんなレース展開を想定して当日を迎えていたであろう。  ……しかし、実際はそうではなかった。
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