仕事

元郵便局員があかす物販ノルマと自腹買い「上司は机を蹴り上げた」

安月給で自爆営業をさせられる郵便局員たち

 各郵便局で働く地域基幹職の場合、大卒初任給は17万4800~19万5780円(2019年度、郵政グループHPより)。17万4800円とすると、税・社会保険を引いた手取りは14万円強となり、そこから自腹購入するのは手痛い。
郵便局カタログ販売

郵便局に並ぶ各種カタログ(本文と直接関係ありません)。商品はゆうパックで届けられる

 2007年の郵政民営化で郵便局が「企業」になったと同時に、カタログ販売事業を行う子会社、郵便局物販サービスが設立された。そして2009年、自ら商品を仕入れる販売業者になったため、売らないと在庫の山になってしまうのだ。日本郵便は「2020年度以降はノルマの算定方法を見直す」というが、そもそも郵便局が通販をやる必要があるのだろうか?

年賀状や「かもめーる」のノルマは廃止になったが…

 自爆営業は物販だけではない。年賀状を自腹で買って金券ショップに売る実態も問題となり、2018年末にいちおうノルマは廃止された。『自爆営業』(ポプラ社)の著者、樫田秀樹氏が郵便局員に取材した廃止前の実態はこうだ。 「(取材した局員の)年賀状のノルマは7000枚。だが、一度に全部を金券ショップに売れば、自爆営業を表向きは禁止している会社にばれてしまうので、小出しで売る。彼はその日『親戚に売ってくる』とウソをついて、1000枚の年賀状を局から預かり、一枚43円でショップに売った。4万3000円を手にしたが、局には5万円を納めるので7000円の自爆。これが7000枚だと約5万円の自爆となる」(2014年、日刊SPA!への寄稿より) 【関連記事】⇒郵便局にはびこる「自爆営業」 自腹10万円は当たり前  各種報道を見ると、昨年末の年賀状ノルマ廃止で多少はゆるくなったようだが…。また、暑中見舞い「かもめーる」のノルマも、今年6月に廃止された。
かもめーる

「かもめーる」のノルマは、2019年は廃止された

 国民からすれば、郵便局は郵便物を確実に届けてくれれば、それでいいような気がする。だが、2007年の衆院選で、小泉純一郎総理(当時)が郵政民営化を叫び、国民もそれを熱く支持して自民党は大勝した。今思えば、利益追求を迫られる民営化は正しかったのかどうか…。  小泉純一郎氏はかんぽ生命の不正発覚にも口を閉ざし、進次郎&滝クリのデキ婚で「初めての孫ができる」とデレデレするばかりである。 <文/日刊SPA!取材班>
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