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元郵便局員があかす物販ノルマと自腹買い「上司は机を蹴り上げた」

 日本郵便は8月13日、郵便局で取り扱うカタログ販売などの物販事業について、2019年度の営業ノルマを廃止すると発表した。郵便局にチラシやカタログが置いてある地方特産品などで、郵便局員がノルマ達成のために自腹で注文する「自爆営業」が問題になっていた。2020年度以降はノルマの算定方法を見直す方針だという。
郵便局かんぽとカタログ販売

郵便局内には、かんぽ生命と並んで物販カタログも多数(本文と直接関係ありません)

 かんぽ生命の不正販売問題でも、販売を受託する日本郵便が、局員に強烈なノルマを課したことが一因である。  では、物販でのノルマはどんなふうに課されていたのだろうか。

「買えない」と新人が言うと、部長は机を蹴っ飛ばした

 3年前に日本郵便に入社した、元郵便局員・Xさん(20代男性)に話を聞いた。 「当時、毎月一品の『注力商品』というものがあって、たとえば3000円程度のジュースのアソート(詰め合わせ)を一人1万円分売るように…といったノルマが与えられていました。  といっても、商品にこれといった特徴があるわけでもなく、他社商品に比べて質も悪くて高い。各地の郵便局が、なじみの地元企業だからという馴れ合いで決めたような商品もありました。  オリジナル商品があるならまだマシな方で、『お偉い方の天下り先の商品だからなんとしてでも売って来い』と、似たような商品で値段だけが高いカタログを渡されました。  そもそも需要がない商品を売っている、ということを上層部が理解していないんです」(Xさん)  なかには良い商品もあるのだろうが、長年民間で闘ってきた通販に勝つのは至難だろう。
郵便局

(本文と直接関係ありません)

 ノルマ達成のプレッシャーのかけ方は、現場の上司によって違う。Xさんの局では、上司があからさまに自腹購入を要求してきたという。 「入社直後のことです。いつも優しく教えてくれる部長がニコニコしながら、こう言いました。 『これ、うちの新商品だからみんなも買ってくれよ。1つは自分用、1つはお世話になった親御さんに、もう1つは彼女に。3つぐらいどうだ?話のネタにもなるしな。明日までに考えてくれ』と。  翌日になると『みんな、ちゃんと考えてくれたか?買ってくれるよな』という上司。同期のK君が『まだ新人で初任給も入っていなくてお金がないので、今回は遠慮させてください』と答えました。  すると部長はK君の机を蹴っ飛ばして、こう怒鳴ったんです。 『自社の商品が買えないなんて、お前ら社会人の自覚がないのか!』。 その瞬間に職場の空気が凍りつきました」(同)  あの穏やかそうな郵便局のバックヤードで、こんな恫喝が行われていたとは…。  結局Xさんたちは、商品を毎月1万円、自腹で買うことになった。周りの先輩達も「自爆営業」と言いながら、みな購入していたという。 「その部長は、県内で最も売り上げを出した局の代表として本社に呼ばれて表彰されていました。上層部は、見かけだけ上がっている売り上げを見て満足していた。でも現場は疲弊していました」
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安月給で自爆営業をさせられる郵便局員たち
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