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今年の競輪はG3が車券もレースも熱いこれだけのワケ

中川誠一郎選手は今年G1を2回優勝。中川選手が残りのG1も優勝すれば賞金枠は広がるが……(keirin.jpより)

東京オリンピックの影響で二刀流選手が不在に!?

 さらに今年の賞金枠争いがさらに大混戦になる理由、それは競輪選手から自転車競技で東京オリンピック出場を目指す選手たちが今年のG1を優勝していることが関係している。今年すでに開かれたG1の優勝選手は以下の3名。 ・中川誠一郎(全日本選抜・高松宮記念優勝) ・脇本雄太(ダービー優勝) ・新田祐大(オールスター優勝)  この3名だが、このうち脇本、新田両選手が東京オリンピック自転車競技日本代表候補として世界の自転車競技大会を戦いながら競輪のG1を優勝している、まさに「二刀流」。この両名が競輪グランプリ前まで自転車競技に専念し、競輪への出走をしない予定となったのだ。つまり、残るG1「寛仁親王牌(10月11日~14日)」と、年内最後のG1「競輪祭(11月19日~24日)」で中川選手が優勝するか、両G1をほかの同一選手が優勝するというパターンでなければ、賞金枠は狭まることになるのだ。  中川選手は強いのだが、脇本・新田両選手が不在のため残りG1優勝者が重複する可能性がグンと減ったことになる。中川選手がさらにG1優勝するか、誰かが残りのG1をダブルで優勝するしか賞金枠が広がる可能性はないからだ。重複がなかった場合、残り賞金枠は9-5=4枠となる。  1枠は佐藤慎太郎選手がほぼ手中に収めているが、もし残りが3枠ならば先に説明した平原・清水・郡司選手が僅差で大接戦になっている。ここにG1決勝上位賞金で飛び込む選手が何人かいるとなると、この3人の争いでも上に立っておかなければならない。だから、今年の重賞戦線はG3でもアツいのだ。

注目したい一発逆転候補は?

今勢いのある四国・徳島の23歳若き大砲、太田竜馬選手は21日から4日間、賞金上位者が不在の岐阜記念G3にて上積みチャンス(keirin.jp)

 最近の競輪界でアツいのは「中国」と「四国」。かつては選手数が少なく、ラインで戦う競輪においてゲリラ戦を強いられてきた地域だが、ここ数年、多くの若手が育って競輪地図を激変させているのだ。中国地区からは現在賞金6位の清水裕友(山口)、8位の松浦悠士(広島)。四国地区からは「徳島3人衆」13位の太田竜馬、15位はベテランの小倉竜二、16位の原田研太朗。彼らの「今まで選手不足で不利だった中四国の競輪を変える」勢いに注目してみるのがオススメだ。  21日からのG3岐阜記念では太田竜馬選手が賞金最上位として出場する。ここは賞金組のライバルがおらず、上位との差を詰める大チャンスだ。太田選手は23歳と若く、長い距離をスタミナで逃げ切る「逃げ」と鋭く前団を飲み込む「捲り」をバランス良く繰り出す正統派自力選手で、競輪の展開を学ぶうえでも初心者にとって非常にわかりやすいスター候補選手だ。もし岐阜G3で優勝すれば獲得賞金が4000万を超え、いずれかのG1決勝2着で平原・清水・郡司を飲み込める賞金差となるので注目してほしい。 <岐阜記念G3「長良川鵜飼カップ」(9月21日~24日)注目ポイント> ●太田竜馬選手以外に賞金上位組が不在。優勝できればG1決勝2着で競輪グランプリ出場権への大逆転チャンス! 文・佐藤永記(シグナルRight) 構成・的場雄一郎
公営競技ライター・Youtuber。近鉄ファンとして全国の遠征観戦費用を稼ぐため、全ての公営競技から勝負レースを絞り込むギャンブラーになる。近鉄球団消滅後、シグナルRightの名前で2010年、全公営競技を解説する生主として話題となり、現在もツイキャスやYoutubeなどで配信活動を継続中。競輪情報サイト「競輪展開予想シート」運営。また、ギャンブラーの視点でプロ野球を数で分析するのが趣味。
Twitter:@signalright
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