それは、お腹がすいても経済的な事情などでお腹いっぱい食べられない子どもたちのために、無料で食事を提供する「まるかつ無料食堂」というものだ。たとえ想いがあってもなかなかできないことだと思うが、なぜこのようなことを始めたのだろうか？ 「始めるときに、チャレンジしてダメだったらヤメればいい、チャレンジしたことを恥じることもない、と思っていました。実際にスタートしてみると、Twitterや報道で知ったお客様が全国からお越しになりました。お食事をされたりお弁当を手渡したりすると、皆一様に笑顔になられます。お父さんが闘病中で収入が限られているご家族が何度かお越しになりますが、そこの幼い娘さんなどは、一緒に成長も見守る気持ちになれます。 　この試みを続けていくなかで、励ましのお手紙やお気持ちをいただくこともありました。とはいえ、全国からお客様がお越しになるので、少しでも料理や接客のレベルを上げなければいけない……そんなプレッシャーもあって、日々頑張れているところも大いにあると思いますね」 　金子さんにとっては、お金以上の喜びを得られることが原動力となっているのかもしれない。

まるかつ無料食堂、本日よりコソッと開店(アホな店長がまた何か始めましたので見てやってください) pic.twitter.com/z0Rh2RLFWj

— とんかつ店まるかつ@奈良 (@marukatsunara) May 4, 2018

　ともあれ、年末に向けて忘年会や飲み会などのイベントが増えていくことだろうが、「無断キャンセル」や「いたずら予約」をする人には、飲食店がこうした想いの中で必死に営業しているということを少しでも知ってもらえたら、と思わずにはいられない。＜取材・文／松本果歩＞インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X（旧Twitter）：@KA_HO_MA