ホテルハワイアンズ統括支配人が語る復活の軌跡
震災により自らも甚大な被害をうけながら、利用客の帰宅を最優先に行動した福島「スパリゾートハワイアンズ」の従業員たち。そんな彼らに当時の状況を語ってもらった
下山田敏博さん ●ホテルハワイアンズ統括支配人
「震災当時、従業員のほとんどの行動が現場判断。ただ、唯一の共通認識が、『お客様最優先』ということでした」と穏やかに笑うのは、ホテルハワイアンズの統括支配人・下山田敏博さん。その柔和な物腰からは、震災時に拡声器を持って声を張りあげ、ホテル内で指揮を執っていた人物だとはにわかに信じがたい。
宿泊客を送り出した13日から、約7か月。復活にやや時間がかかったという印象も受ける。
「3月11日の地震でも、水道管が外れるなどの被害は受けたものの、順調に修繕すれば、6月頃には営業を再開できるんじゃないかと思っていたんです」
だが、ちょうど1か月後、事態は一変。4月11日に、いわき市を震源とする震度6強の直下型地震がハワイアンズを襲う。
「この地震でハワイアンズの目玉である大プールやポリネシアンショーのステージが壊滅状態。延期を余儀なくされました」
そして、このたびの再オープン。まだいくつかの施設は閉鎖中だが、来年にはプールやステージ、さらに建設中だった新館も同時に開業する予定だ。
「震災後もいまだに余震が続いています。正直、放射能の問題もまだまだ不安を拭いきれてはいない状態です……。ただ皆と力を合わせれば、乗り切れるのでは、とは思ってます(笑)」
取材中も終始笑顔が続く下山田支配人。このおおらかさと前向きさが、今後のハワイアンズ復活の原動力となるのだろう。
― 福島「スパリゾートハワイアンズ」復活の軌跡【7】 ―
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