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元敏腕競馬記者が教える馬券予想に必要な4つの習慣

馬場の傾向

 個人的には復習する上で最も重視しているのがこの馬場の傾向だ。「今日は前が止まらないな」、「時計が速いな」とレースを見ながらボヤくファンは多いと思うが、それを記録している人は少ない。実はこの馬場傾向の気づきこそ、次につながるお宝なのだ。結論から言えば、馬場の傾向に合わなかった馬を全て記録しておくことをオススメする。  直近の例で言えば、「小倉の芝で外を回って負けていた馬」は全て覚えておきたい。小倉の芝コース(Aコースの1月~2月2日開催)は極端に内側が有利な馬場で、枠順別の複勝回収率も1枠194%、2枠93%と高いのに対し、6枠38%、7枠55%、8枠60%となっていた。この傾向を覚えておくことが夢馬券獲得へつながるかもしれないのだ。簡単に言えば外を回って負けていた馬は枠順の差で負けただけで、次走以降で巻き返す可能性が高い。  実際に上記の期間に8枠から走っていた馬の次走での成績は、単勝回収率487%、複勝回収率210%(2月10日時点)と激走しまくっている。これは「前走の枠順」を考慮して予想している人が少ないためだ。実際に5年近く競馬新聞業界に勤めていたが、こうした馬場や枠を考慮して予想している記者は少なかったと感じる。厳密に言えば、当日の傾向を忘れてしまっている人が多い。私自身も人間なので記憶力は完璧ではないのだが、それを防ぐために全てパソコンにデータを保存し、すぐに引き出せるようにしてある。  ただひと回り以上も年が上の記者たちはどちらかというとアナログ寄りで、記録をパソコンでなくノートなどで取っている人もいる。そのため毎度そのノートをめくるわけにもいかず、前走の傾向を考慮せずに予想してしまっていることが多々あるように感じた。競馬新聞は多くのファンの参考になっているため、記者の予想次第で人気になる馬も変わってくる。それだけ影響力が大きいメディアの“穴”となるのが上記の馬場傾向なのだ。 <復習のポイント>馬場の違いは敗因のなかで特に重要。今なら小倉で負けた馬をチェック!

ベストの馬券を買えていたか

 馬券が当たった場合も復習は必要だ。「単勝にしておけばよかった~」、「枠連の方がついてたじゃん!」といった会話は競馬ファンなら一度はしたことがあるだろう。そうした後悔をしないためにも馬券の選択が合っていたのか検証する必要がある。一番いい例としては、枠連ゾロ目か馬連で買うか、という悩みだ。結果としては同じことだが配当は異なることがあるので、オッズを見比べてオトクな方を買う必要がある。また馬連を買うか馬単マルチを買うか、といったことも同じ類だ。  私が復習を重ねて得たことをひとつ紹介すると、1番人気を買う場合は馬単よりも単勝の方がオトクだということだ。単勝と馬単総流しは、本命馬が1着、という意味としては同じことだが、得られる配当は変わってくる。2019年の全レースを対象に検証すると、1番人気から馬単総流しを買い続けた場合、回収率は70.1%になる。対して単勝を買い続けた場合は78.4%と回収率は8%以上も上昇する。  大げさに言えば1番人気から馬単を買うか単勝を買うかで、年間の回収率は8%も変わるのだ。単勝と馬単では還元率が異なる(単勝80%、馬単75%)ので当たり前だろ! というツッコミもあると思うが、実際には「1番人気で単勝はオッズがつかないから馬単にしよう」と考えて馬券を買う人は多いはずだ。 <復習のポイント>多種多様な馬券種がある。『当てること』と『儲けること』は別だと思って振り返ろう。  こうした反省や復習、分析を重ねることで、自身の回収率を向上させることは可能なのだ。そのため馬券が当たっても復習を厳かにしてはいけない。 雀士の桜井章一氏の言葉を借りれば、 理想的なのは、「よい内容で勝つ」こと。 次に望ましいのは、「よい内容で負ける」こと。 3番目が「悪い内容で負ける」ことであり、 最も下なのは「悪い内容で勝つ」こと。  ヘタな馬券を買って当てて喜ぶのは一時的な勝ちで、それは長続きしにくい。そのためハズレたときだけでなく当たった時も復習の心を持っておくことは大切なのだ。  いくつか競馬の復習法を紹介したが、「ここまで復習する時間もないし面倒くさいよ」と感じた方もいるだろう。そう、競馬で勝つことはそれだけ簡単ではないのだ(笑)。そのためこうした”面倒なこと”をして情報を提供するのが私たちのような予想家的な立ち位置の人の仕事だとも思う。平日に働き週末に競馬を楽しむ生活をしながら全レースの復習をすることは難しいが、自分が馬券を買ったレース、追いかけている馬だけでもいいので復習してみてほしい。そうした小さな積み重ねが大きな結果をもたらしてくれるはずだ。
元「競馬エイト」トラックマン(栗東担当)。学生時代には中央、地方を全場渡り歩き、フランス、香港、ドバイまで駆け回っていた、根っからの現地観戦好き。『競馬伝道師』として週刊大衆やモンドTV「競馬バトルロイヤル」などでも活躍している。
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