更新日:2023年05月24日 14:23
ライフ

新型コロナで大打撃の夜の業界。小規模スナックの店内では…

オッサンの唾は飛び交うけれど…

 しかし、いつもと変わらぬ彼のトークに安心感を覚える。  自宅でテレビを見てもネットニュースを眺めても、押し並べてコロナ関連ばかりで正直気が滅入るし、地下のスナックというカラオケバンバン換気率ゼロな自分の仕事環境を思っては、一人出たら全滅だな、とか不安に駆られるばかりだ。  どうにもならない。それでもわたしは酒場で働いているし、酒場にはコロナに負けぬ阿呆たちが夜毎集う。同じ阿呆なら踊らにゃ損損。どうせ酒場にいるのだから、酒場らしくめいっぱい酔って死ぬほどくだらない話をするべきだ。そういうわけでただひたすらに飲みまくり、帰宅後睡眠中は今年一番の地獄のような吐き気にのたうち回り、もう一生酒を呑まないと誓った。  金曜日の反動か、翌日土曜日はもうのっけからしっちゃかめっちゃかで、カウンターもボックス席もいっぱいでボロい補助椅子まで引っ張り出してくる始末で、まさに阿呆が大集合。次々と入る揚げ物と焼き物のオーダーとドリンク作りに右往左往し、ろくに酔っぱらっている暇さえもなかったが、酷い二日酔いは焼酎を一杯飲んだらラクになった。やはりいつだって酒は偉大だ。  今は、いつもみたいに「みんな今日も元気に酒飲もうね!」とは言えない。  酒場は本当に空気が悪いし、行かなくても死ぬわけじゃないし、むしろ行ったら酔って階段から落ちて逆に死ぬかもしれないし、オッサンの唾は飛ぶし、わたしも店員という立場じゃなければ少しは飲み歩くのを控えるかもしれないし。皆さんお酒を飲める年齢のオトナなんだから自分で見極めてくれ、判断してくれとしか言えない。  それでも酒を求めてしまう阿呆の仲間たち、わたしとおんなじアル中の仲間たちは、もう酒場に来ちゃったらいつも通り楽しみましょう。一緒に飲みながら、嵐が過ぎるのを待ちましょう。  今夜も消毒だ!!
(おおたにゆきな)福島県出身。第三回『幽』怪談実話コンテストにて優秀賞入選。実話怪談を中心にライターとして活動。お酒と夜の街を愛するスナック勤務。時々怖い話を語ったりもする。ツイッターアカウントは @yukina_otani
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