お金

新型コロナの影響で高級腕時計の相場はどうなった? 腕時計投資家の考察

 では、高級腕時計相場に近い曲線を持つ相場がないのかというと、そんなことはありません。実はガソリンや原油の相場とは、近い曲線を示しています。ガソリン小売価格でも原油先物相場でもいいのですが、私は小売価格のほうを記憶しているため、巷のガソリン小売価格のほうを参考としています。  gogo.gsが提供しているガソリン価格推移を見ると、2016年2月頃が底値。そこから上昇し、2018年10月頃をピークに達したのち、再度下落傾向となっています。

gogo.gsのガソリン価格推移

 それこそ、まさに最近の中古腕時計相場と同じ曲線。時期だけは一致していませんが、おおよそ10か月ぐらい遅れて、高級腕時計相場のほうが動く傾向にあるわけです。  ちなみに、2008年についてもガソリン価格と高級腕時計相場は似ていたと感じています。私は、2008年夏頃に、レギュラーガソリンが1リッターあたり180円近くにまで上昇し、かなりビビったのですが、2008年秋頃には90円程度にまで値下がりしたことを覚えています。  なぜ、そんなことを覚えているのかというと、当時ガソリン価格の上昇にともなって、燃費がいいプリウスの中古車を買ったからなのですが、私がプリウスを買って半年ほどでガソリン価格が下落したから覚えているのです。  そして、その時もまた高級腕時計の中古相場が、過去に例を見ないほど値下がりしていました。その際、私はロレックスサブマリーナを購入。価格は約34万円でしたが、現在相場は80万円以上となっています。

値上がり? 値下がり? 高級腕時計相場の見通し

 これまで高級腕時計相場は、株のように「世の中の景気が良いと高い」「景気が悪いと安い」という傾向がありました。リーマンショックの事例がわかりやすいのですが、2008年6月に約158万円の相場だったロレックスミルガウスは、同年12月には約65万円にまで下落しています(いずれも、安い順5店舗の平均値)。

筆者が2017年に購入したロレックスミルガウス

 それに対して金相場の場合、2007年よりも2008年が高く、2009年はそれよりさらに高いといった状況。これまでの高級腕時計相場は、金相場とはまったく異なる動きをしていたと言えます。  しかし、「資産性」という観点では高級腕時計は純金と似ているという側面があるため、相場トレンドは今後変わる可能性もないとは限りません。  この結果は、今後の高級腕時計相場の値動きによって判明するわけですが、10か月後に今のガソリン価格と同じような状況となったならば「これまで通り」、異なる動きとなったなら「変化の兆し」と言えるのではないでしょうか。参考にしていただければ幸いです。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

もう新品は買うな!もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう

1
2
おすすめ記事