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新型コロナの影響で高級腕時計の相場はどうなった? 腕時計投資家の考察

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  近頃、新型コロナウィルスによって経済的不安が広がっていますが、そういったことが影響してか、現物資産としての金相場に注目が集まっています。  金相場上昇の要因には様々な事情が組み合わさっていると言えますが、リーマンショック時などでも値上がりしていたことから、株価などが下落する場合、現物資産としての金が強いのは確かでしょう。

斉藤由貴生

 では高級腕時計の相場はどうでしょうか? 金相場のように、株安といった社会情勢で強さを発揮できるのか? 私なりに考察してみたいと思います。

高級腕時計にもコロナショックはあるのか?

 高級腕時計相場は、簡単に言うと 2007年頃上昇 ⇒リーマンショック後下落 ⇒ アベノミクスで上昇 ⇒ 2017年頃からさらなる上昇 といった変遷をたどってきました。2017年以降は年々、上昇傾向に拍車がかかり、特に2019年上半期には多くのモデルが過去最高値の水準に達していたのです。しかし、2019年夏頃、特に目立った要因が見当たらなかったにもかかわらず、多くのモデルが下落傾向へと転じます。  それ以降、多くのモデルが下落傾向となったのですが、2020年になると人気モデルの一部が再度上昇傾向となり、回復の兆しを見せていました。  では、新型コロナの影響によって、腕時計相場はどうなったのでしょうか?  高級腕時計は金と違って、下落傾向にあります。高級腕時計は、金と同じように「現物資産」という側面があるのに、現在のところ上昇するといった様子が見られないのです。

過去10年間の金1gの価格推移(日本マテリアルのHPより)

 では、どの程度下落しているのでしょうか? 「新型コロナ」と「下落」というキーワードが結びつくと、高級腕時計も「コロナショックで下落か?」と思われがちですが、現在の様子ではリーマンショック時のような下落幅とはなっていません。  現在の水準は、値下がり傾向とはいえ、2018年並みであるため、実は極端な値下がりではないのです。リーマンショック時のような下がり方をしたならば、2012年並み、もしくはそれ以下となるでしょう。2018年の水準は2012年の水準と比べてもまだまだ高いため、「ショック」という言葉とはほど遠いわけです。  ですから、今の高級腕時計相場は、さほどドラマチックな下がり方をしているわけではないため、特に「すごい」とも「ひどい」とも言えないわけです。

高級腕時計相場の参考になる意外なモノの相場とは?

 実は、高級腕時計の価格には、異なる3つ値が存在します。それらは「定価」「新品実勢価格」「中古相場」の3つです。  定価はメーカーの希望小売価格、新品実勢価格は並行輸入店などで売られている価格です。並行輸入品の相場は為替に大きく影響されると言えます。  それに対して「中古相場」は、需要と供給の要因が強く、一概に為替だけが要因とは言えない側面があります。実際、中古相場は米ドル、ユーロ、スイスフラン等、いずれの相場曲線と一致する傾向はありません。仮に米ドルと一致したならば、2015年よりも2017年、2018年、2019年上半期のほうが安いはずですが、中古腕時計相場は逆であるのです。

2013年から現在までの米ドル/円の推移(ヤフーファイナンスより)

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