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リモート化するコスプレイヤーたち。「宅コス」「オンライン併せ」がトレンドに

 新型コロナウイルスの感染拡大で政府による自粛要請の長期化が進み、人々の生活様式が変わりつつある中、「コスプレイヤー」たちの活動にも変化が生じている。  平時はコミケ(コミックマーケット)等のイベントや撮影スタジオにてコスプレを楽しんでいる彼ら。だが、相次ぐイベントの中止、撮影スタジオの休業や閉業を受け、コスプレイヤーたちの間でも「リモート」が流行り始めている。Twitter上には自宅でコスプレをする「#宅コス」「#オンライン併せ」などのハッシュタグが増えつつあるのだ。

予定が全て白紙に…購入した衣装も届かず

秋槻ケンヂさん

コスプレイヤー歴12年の秋槻ケンヂさん

「併せ、撮影予定が4月と5月は4件ありましたが、全てが白紙になりました」  そう話すのはコスプレイヤー歴12年の秋槻ケンヂさん(@akiken_dayo)。「併せ」とは、ひとつの作品に登場するキャラクターをそれぞれがコスプレし、集まって撮影するものだ。ケンヂさんのように精力的に活動しているコスプレイヤーは、ほぼ毎週のように撮影へ出かけている。  しかし新型コロナの影響が出始めた2月以降、あらゆるコスプレイヤーたちから「予定が無くなった」と嘆く声が多く見られるようになった。  撮影が中止になっただけでなく、撮影のために購入していた衣装が届かないといったトラブルも頻発している。 「注文した衣装が届かないトラブルは多いみたいです。2月に中国で武漢が閉鎖になった頃から、多くの衣装が届かなくなりました。武漢の閉鎖が3月か4月頭ぐらいに解除されて、その前後で衣装が届いた人もいたようですが、今は日本が大変なことになっているせいか荷物が届かないですね」  コスプレ衣装の制作・販売元の大半が中国だ。衣装をネット通販で購入するコスプレイヤーたちの間では、衣装がいつ届くのか分からない、キャンセルしても返金されないといった不安が広がっている。

広がる「宅コス」「オンライン併せ」

 
宅コス

「宅コス」で創作コスプレをしたケンヂさん

 「宅コス」とは「自宅コスプレ」の略で、その名の通り自宅でコスプレをして楽しむ文化だ。コロナ以前から「宅コス」文化は存在していたが、ここにきて盛り上がりを見せているという。  インタビューに答えてくれたケンヂさんは、普段IT企業でシステムエンジニアとして働いている。コロナを機にリモートワークに切り替わり、空いた時間でコスプレのために部屋の整理整頓をしたそうだ。 「以前は予定に追われて部屋の整理ができていなかったのですが、これがいい機会だなって。部屋に宅コスしやすい環境を作ることが目標でしたが、ちょうど先週いい感じに整ったところです」
宅コス

ケンヂさんが自宅に設置した「宅コス」空間。既に持っているライティング機材と一般的なLED電球を組み合わせて試行錯誤中だ

 「宅コス」のほかに、LINEのビデオ通話やZoom等を使った「オンライン併せ」もコスプレイヤーの間で流行っている。  何人かのコスプレイヤーに話を聞いたところ、「一人でやる宅コスもいいが、オンライン併せは見せる相手がいて、一緒に楽しんでくれる良さがある」と好評だ。
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福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0

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