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藤井聡太七段の強さの秘訣は「恩師の激励」にあった

人物の影響を無視するとうまくいかない

 あるいは、効率的な勉強法や運動法や仕事術を学んで、「これなら上手くいく」と息巻いたものの、結局長続きせずに元どおりになってしまうこともよくあります。こうした行動不足は理屈が間違っているせいではなく、「人物の影響」の欠如が原因です。人は理屈でそうした方がいいとわかっていても、人物の影響がなければ行動できないのです。  決断や人物の影響は、「心の世界」の出来事です。そして心の世界は、「心の空間」と「心の時間」によってできています。心の空間は家族や友人や同僚など、「自分が誰に囲まれているか?」を意味します。一方、心の時間は「誰かと出会った時に始まって、誰かと別れた時に終わる一括りの期間」を意味します。藤井七段の場合は、「心の時間」に当てはまります。  藤井七段が文本氏から「名人を超える」というフレーズを受け取ったのは、ふみもと将棋教室を退室した小学4年の夏でした。その数ヶ月後に地元のラジオ番組で、そのフレーズを抱負として語ったのは前述した通りですが、その三年後、史上最年少で三段に昇格した中学一年時のインタビューでは、目標にしている棋士として谷川浩司九段を挙げています。  藤井七段は昨年の第69期王将戦2次予選決勝で、この谷川九段と対戦し勝利します。そしてその対戦後、「谷川先生は『光速の寄せ』と言われるように、非常に鋭い終盤が持ち味。子供の頃、『光速の寄せ』に憧れていた部分があったので、対戦が実現してとてもうれしかった」とコメントしています。  谷川九段は「永世名人」の称号を獲得しており、「名人を超える」という夢を実現するにあたって無視できない人物です。このように人物の影響は、何年も前のやりとりがゆっくり時間をかけて、人生の広範囲に波及していきます。こうした人物の影響に対する自覚こそ、夢や目標を実現するために粘り強く努力できる秘訣です。  もしあなたが何か目標を持っていて、しかしなぜかそのために努力できずに困っているのなら、ぜひ人物の影響について考えてみてください。「あの時、あの人が、ああ言ってくれたから」という理由を思い出せた時、理屈だけでは得られなかったモチベーションを実感できるようになります。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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