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東京アラートに「やってみたかった」以外の理由があるのか?/倉山満

安倍政権のバラマキは、国民の利益のためなどではない。国会を開きたくないだけだ

 消費増税で不況が深刻化していたところに、コロナ禍だ。本来ならば、通年国会がしかるべきだが、国民の利益など今の安倍政権に求める方が間違っている。安倍政権からしたら、国会を開かないために補正予算でバラマキしたつもりなのだ。あとはひたすら敵から攻撃する手段を奪い、支持率が上がるのを待つだけだ。  本来ならば、日本国憲法第53条には「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」との規定がある。野党が結束すれば、要求できる。  だが、年末に要求すれば、「忙しいし、1月からの通常国会が始まるのだから開く必要はない」と勝手な解釈を言い出すし、年の早めに要求しても、ほったらかしにする。3年前のモリカケ騒動では、3か月以上も放置した挙句、支持率が上がった途端に臨時国会を召集、即座に解散総選挙を断行した。  要するに、安倍内閣は「臨時国会は、政府が好きな時に開けばよい」と考えているのだ。日本国憲法53条には、期限が書いていないのをいいことに。  本来ならば憲法改正で対処すべきだが、なかなか難しかろう。そこで方法がある。国会法の改正だ。現行の第3条に2項を付け加えればいい。以下、1項は現行の規定、2項は試案だ。 =====  国会法第3条  第1項 臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。  第2項 いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があったときは、要求があった日から二十日以内に臨時会が召集されなければならない。 =====  試案の第2項に、まさか自民党は反対すまい。なぜなら、自民党改憲草案の条文そのものだからだ。  憲法典の条文に欠陥があっても、法律によって補うことはできる。与野党ともに、国会法の改正を審議してはどうか。今の国会を延長するのでもよし、即座に臨時国会を召集するでもよし。  別に、この問題だけを扱えと言っているのではない。もっと大事な問題がある。  政府は公明党の突き上げもあり、それなりに財政出動はした。だが、一つだけやっていない財政出動がある。減税だ。  減税は現時点でもっとも効果的な財政政策だ。景気が回復軌道になった時に即座に行うのが最も効果的だが、それには今から準備しておかなければならない。  ところが、政官界の流れは増税だ。消費税再増税、コロナ税、炭素税、あげくには通行税を言い出した御用学者までいる。政府は、本気で関所を復活させようとしている。正気ではない。  日本国民は政府に殺されたくなければ、声をあげるべきだ。争点は、減税と国会法改正だ!
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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