更新日:2020年05月26日 13:49
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黒川氏のマージャン賭博、スジ論ならば監督責任で内閣総辞職だ/倉山満

権力にしがみ付く以外に能がない安倍内閣の象徴が、検察人事ではないか!?

言論ストロングスタイル

「官邸の守護神」とすら呼ばれていた黒川弘務東京高検検事長(左)。こうなれば稲田伸夫検事総長(右)には、血迷った安倍内閣を刺し違えてでも倒していただきたい 写真/時事通信社

 国民世論が検察庁法改正案を葬り去った! 5年に渡る首相官邸と検察本流の死闘も、いよいよクライマックスだ。そして、首相官邸を発信源とするプロパガンダも激しさを増している。  そもそも、法務検察の問題は、にわか勉強で語れるほど生易しくない。私も『検証 検察庁の近現代史』を書くのに、6年かけた。  ところが、知ったかぶりほど恐ろしいものは無い。首相官邸のプロパガンダに踊らされた安倍応援団はSNSを中心に暴れまわっている。声を上げた芸能人に対して「勉強をしてからモノを言え」と超~上から目線で説教を垂れながら、「では、『検察庁の近現代史』に書いてある程度の知識はあるのか」と問われると、「そんな勉強しているほど暇ではない」と平気で答える。自分の正義を疑わず、ダブルスタンダードに気付いていない。  かつて、毛沢東は純情な若者を洗脳して個人崇拝を強要し、敵対勢力に対して攻撃させた。紅衛兵だ。安倍応援団も、もはや紅衛兵と化している。長期政権の間に、「保守は安倍さんの批判をしてはならない」「安倍さんに逆らう奴はパヨクだ。だから、徹底的に戦わねばならない」と自己催眠をかけてしまった。  彼らからすると、倉山満のような存在は不可解だろう。リベラルの多くの諸君からも不思議な存在に思われているらしい。しかし、私からすると、「右か左か」「安倍か反安倍か」でしか物事を考えられない人間こそ、愚かなだけだ。左右の意見対立の前に、人の道がある。常識を持て。世の中は単純な二択で割り切れないし、人間の評価に100点も0点もあるはずがない。  今の安倍内閣は何の実績も無いくせに、人の道に外れた所業が多いから、批判しているだけだ。7年も弱い野党を相手に政権を独占させてもらいながら、権力にしがみ付く以外の何もなしえなかった安倍内閣の象徴が、検察人事ではないか!?  安倍晋三首相と菅義偉官房長官によって引き上げられたのが、黒川弘務東京高検検事長だ。たび重なる首相官邸の人事介入に、検察本流は怨念を抱き、我慢を重ねてきた。  ようやく今年の2月、黒川氏は定年を迎え、送別会まで用意されていたとか。ところが誕生日の1週間前になって突如、閣議決定で黒川検事長の定年が延長された。検察庁法では検事の定年は延長できないことになっていたが、「国家公務員法からは可能だとの解釈が読み取れる」と内閣は言い張った。これは野党に「かつての政府解釈では禁止されているはずだ」と追及されるや、安倍内閣は「解釈を変更した」と開き直った。当然の如く森まさこ法務大臣の答弁は崩壊していたところに、コロナ騒動で政治休戦。休戦の最中に、曰く付きの検察庁法の改正案を提出してきた。  安倍内閣のふざけた姿勢に、普通の感覚の人間が怒るのは当然だろう。ただでさえ消費増税で景気は悪化、コロナ対策も満足にできていない内閣が何をやっているのか、と。国民世論は、怒った。  そんな安倍内閣を、アクロバティックに擁護するのが、応援団どもだ。 「黒川氏の定年延長は、法務省から言い出した。稲田伸夫総長は、カルロス・ゴーン逃亡事件の責任を取ったように思われたくないし、4月に国際カンファレンスに行きたいと総長の座を譲らなかったので、定年延長を認めてやったのだ。別に安倍さんは黒川さんを総長にしたいなどと思い入れは無いが、ゴーン事件とIR事件の捜査に余人をもって代えがたいと言われたので、言われるままに承認した」と。この、随分と稲田総長だけが悪者で安倍内閣が善意の第三者の如く扱われるありえないストーリー、安倍紅衛兵以外は信じないだろう。
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定年延長の首謀者は首相官邸だ
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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