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小泉今日子も怒っていた検察庁法改正案、真実を言っているのは誰だ?/倉山満

※この原稿は一週間前に発売したSPA!5/26号に掲載の原稿ですが、誰が一貫して本当のことを言っているか、読者として見極めてみてください

宣言する。#検察庁法改正案に抗議します

言論ストロングスタイル

8日、一般女性の投稿から始まった「#検察庁法改正案に抗議します」。翌日夕方には、Twitterトレンド1位を獲得、小泉今日子ら多くの有名人が引用して投稿したことで爆発的に広がった 写真/時事通信社

 小泉今日子、キョンキョンの愛称で知られる、日本で知らない者はいないであろう、スーパーアイドルだ。今は芸能界の大御所でもある。  そのキョンキョンが、怒っている。ツイッターで「#検察庁法改正案に抗議します」とのハッシュタグをつけて意見を拡散し、500万ツイートを超える反響を呼んだ。  これに往生際の悪い安倍応援団のネトウヨ言論人どもが、「左翼の意図的な工作だ」と負け惜しみを発散させているが、保守論壇村の外には届いていないようだ。つい最近、安倍首相が星野源とのコラボ動画を流して反感を買った時、「35万いいね」がついたと自慢したのを忘れている鳥頭の連中だ。インターネットの拡散など、同じ人が何回も拡散するから数字が膨れ上がるのは、いつものことだ。35万だの500万だの、巨大な数字になれば然り。だいたい、ネット工作など安倍陣営こそお手のものではないか。  だが、今回はリベラル系とは言えない有名人の多くも声を上げている。キョンキョンの他にも、西郷輝彦、DaiGo、城田優、きゃりーぱみゅぱみゅ、秋元才加、岩佐真悠子、などなど、世代やジャンルを問わない。ネット番組で有名人を気取る保守言論人など、束になってかかっても、ここにあげた誰ひとりの知名度にもかなわないだろう。  苦し紛れに「芸能人だから、わかってないだろう」と説教を始めるが、ならば、美内すずえ、大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦、江口寿史、俵万智、羽海野チカ、吉田戦車といった人々の作品を超える名作を残している保守言論人が、誰か一人でもいるのか。いかに保守論壇村で「自分は人気作家である」と威張り散らしても、平野啓一郎よりソイツを格上と看做す出版社は世界に一つもない。  ネトウヨ村の哀れな住人たちは、長すぎた安倍政権で「安倍サマに歯向かう奴は左翼」と自己催眠をかけているので、正気の判断ができなくなっているのだ。  などと書いていると、とんでもないニュースが飛び込んできた。  松尾邦弘元検事総長らOBが、法務省に検察庁法の改正反対を文書で申し入れたのだ。検察は、OBの意向が強い組織だ。松尾氏は、ほぼ最長老になる。その松尾氏が動いたということは、検察の総意である。また、総長時代の松尾氏は、日歯連事件で親中派として有名な野中広務氏を引退に追い込んだ。さらに、この事件の後、橋本龍太郎元首相は非業の死を遂げた。松尾氏が総長を務めたのは反中姿勢が鮮明だった小泉純一郎内閣である。松尾氏こそ反中の急先鋒なのだが、それでも検察庁法に反対する者は左翼なのか。ならば、私も左翼で結構。宣言する。  #検察庁法改正案に抗議します
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安倍応援団の誰が、「検察庁法の改正が必要火急」との理由を証明したのか?
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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