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旅先で「コロナ」呼ばわり…海外旅行記漫画がバズり中の作者を直撃

 今年の6月2日に、Twitterに投稿された漫画『海外のスコールから逃げ込んだ店で大将に意識とばされる。』が、大反響を呼んでいる。現在、当該投稿のリツイート数は1.9万、いいね数は9.7万まで伸びている。その内容は次の通りだ。  ヨーロッパの郊外の街を歩いていると、突然の雨に見舞われる。急場をしのごうと逃げ込んだのは電気屋。観光客が訪れそうもない店である。強面の大将(店主)から視線が向けられる。それは、まるで「不審者」を見る目。どこかへ電話をかける大将。警察を呼ばれたのかもしれない……逃げようかと考えた次の瞬間、おもてなしの紅茶が運ばれてきたのだった!  このどんでん返しに「素敵なエピソード」「和む」など、数多くのコメントが寄せられている。
 そこで今回は、作者である漫画家の五箇野人さん(@gokayajin)に取材を行い、エキセントリックで“Dope”な海外旅行記のこぼれ話や、漫画の制作秘話についてお話を伺った。

旅行に行くときは“甚平&忍ハチマキ”

 海外旅行での体験を漫画にして、ブログやSNS上にアップしている五箇野人さん、同作は、小学館の漫画雑誌『ゲッサン』や、同社のWEBコミック配信サイト『サンデーうぇぶり』でも連載されている。この人気作は、どういった経緯で生まれたものなのだろうか? 「もともと私は“旅の玄人”ではなく、海外に行くようになったのは数年前からです。きっかけは、とある雑誌の海外取材を題材にした連載でした。  海外旅には、甚平と忍ハチマキという格好で行っているのですが、そのおかげもあり、現地の人に声をかけてもらったり、良くしていただいたりすることが多く、そこで感じた喜びだったりを他の方にも共有したいと思い、漫画を描き始めました」(五箇野人さん、以下同)

ローカルな出会いを求めて、知らない国を訪問

 旅行先の選定はどうしているのだろうか。また、お気に入りの国などはあるのだろうか。
五箇野人

危険な目に遭いつつも、いつも寸でのところで難を逃れる五箇野人さんのサバイバル能力!(画像は五箇野人さん提供、以下同)

「現地のローカルな生活に巡り合うのが、目的の一つでもあるので、そういう街がありそうかどうか。あとは、自分でもあまりよく知らない国を、積極的に選ぶことにしています。  2019年に行ったキューバは社会主義国ということもあり、日常生活から多くの面で日本と違うことが多く、とても刺激的で、強く印象に残っています。世界遺産の旧市街に住んでいる人々や、現役で走っているクラシックカーなどの街の景色に加え、数え切れない種類の商品がある日本とは真逆で、とにかくモノが少ないことが印象的でした」

人の親切に触れた時の多幸感がたまらない…

『海外のスコールから逃げ込んだ店で大将に意識とばされる。』で描かれている内容について、実際に体験した当時の気持ちを聞いてみた。
五箇野人

思わず入った雑貨屋で、五箇野人さんを待ち受けていたのは…

「店長に怪しまれていると完全に思い込んでいましたから、店長のすべての動き、一つの物音さえマイナスに捉えてしまって、生きた心地がせず、商品を見ながらも全神経は背中に向けていましたね。  その状態から、実は歓迎されていたと知ったときは、とてつもない開放感を覚えると同時に、現地で良くしていただいたときに毎回感じる、なんともいえない多幸感、幸福感が湧いてきて、たまらない感覚になりました」  緊張と緩和。その大きなギャップが魅力だが、コロナ禍に投稿された漫画「海外の田舎町でコロナに反応した現地の人に撃退される。」も大きな反響を呼んだ。アジア人の少ないエリアを歩いていると、周囲から「コロナ」という言葉を浴びせられるなど嫌がらせを受けることもあったという。数人の子どもたちからロックオンされて困っていると、筋骨隆々の男性が「おたま」を振り回しながらいきなり殴りかかってきた……と思いきや、男性が「ウイルス退治完了、この人はコロナじゃありません」。すると、「コロナ」と呼ばれなくなったという。
五箇野人

最近は新型コロナウイルスにまつわるほっこりエピソードも。この回は五箇野人さんお気に入りだそう

 そんな心温まるエピソードに「優しい世界」というコメントで溢れた。

作品の反響は、自分ではなく現地への人のもの

 最後に、ネット上で大きくバズったことについての、現在の思いをうかがった。
五箇野人

五箇野人さんの漫画は「人は見かけによらない」ということを思い知らせてくれる

「これは毎回思うことですが、私の漫画はフィクションではないので、自分の作品への反応というよりも、現地の方への反響だと思っています。今回の漫画『海外のスコールから逃げ込んだ店で大将に意識とばされる。』であれば、この電気屋の大将が、皆さんからの反響をお受けになっているという感覚です。  私が行っているのは、あくまでも体験の橋渡しです。なので、現地での体験やそこで覚えた感情を、少しでも追体験していただけるように、今後も漫画を描いていきたいですね」  ――五箇野人さんは、SNSだけでなくご自身のブログ(「五箇野人の海外旅日記」)にも、数多くの海外旅行記漫画を掲載しているので、ぜひチェックしてほしい。これからも、甚平と忍ハチマキで各国を旅して、面白エピソードを届けてくれることだろう。<文/TND幽介(A4studio)>
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