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海と山に囲まれた日本一の秘境駅。住民はホームレスの“仙人”一人だけ

―[シリーズ・駅]―
 発着する列車もわずかで通勤・通学で利用する乗客もいない秘境駅。ほとんどの場合、しばらく歩けば民家があったりするものだが、なかには周辺地域に住民が誰もいない駅も存在する。

鉄道でしか行けない陸の孤島、JR室蘭本線「小幌駅」

小幌駅

小幌駅

小幌駅 北海道豊浦町にあるJR室蘭本線の『小幌駅』がまさにそれ。2つのトンネルに挟まれた100メートルに満たない場所にあり、四方を山と海に囲まれ、外界に通じる道路は皆無。当然、車で訪れることもできず、住民はおろか建物も一切ない。つまり、完全な秘境駅なのだ。
冬場以外は休日の訪問客が意外と多い

冬場以外は休日の訪問客が意外と多い

 秘境駅に関する多数の著書を持つ牛山隆信氏がまとめた「秘境駅ランキング」でも毎年不動の1位をキープ。鉄道ファンの間では“日本一の秘境駅”として認知されており、この駅目当てにわざわざ足を運ぶ者も少なくない。
秘境駅らしい本数の少ない時刻表

秘境駅らしい本数の少ない時刻表

2つ隣は長万部駅

2つ隣は長万部駅

 筆者もこれまで何度か訪れたことはあるが、1日に到着するの列車は長万部方面の上り線が4本、東室蘭方面の下り線が2本の合わせてたったの6本(※20年11月現在)。特急や貨物列車は頻繁に通過するが、さすがと言うべきかアクセスも大変だ。
通過列車は猛スピードなので注意を促す看板も

通過列車は猛スピードなので注意を促す看板も

駅前にあるバイオトイレ

駅前にあるバイオトイレ

 ちなみに小幌駅でホーム以外に置いてあるのは環境に配慮されたバイオトイレくらい。ほかにJRの保線用施設があるものの、もちろん関係者以外は入ることはできない。

「マムシ出没注意」の張り紙が

「マムシ出没注意」の張り紙

「マムシ出没注意」の張り紙

 しかも、建物には「マムシ出没注意」と書かれた気になる貼り紙が。このときちょうどJRの保線職員がいたので尋ねると、「この(建物の)下にマムシの巣があるんですよ」とのこと。確かに、駅構内や駅前も舗装されている場所すらなく、ヘビの1匹や2匹出てきたとしても何ら不思議ではない。  一方、熊に関しては駅周辺での出没はないと聞いて安心したが、念のために後で地元自治体の出没情報を調べたところ、少し離れた地域では頻繁に出没が確認されていることがわかった。やはり油断できない場所ではあるようだ。
獣道同然の駅前~海岸を結ぶ道

獣道同然の駅前~海岸を結ぶ道

 
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住んでいたのはホームレスの1人だけ?
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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