更新日:2020年11月30日 09:19
仕事

斜陽産業で働く若者たち。憧れのテレビマンも「できる人から辞めていく」

現場体制を刷新、新陳代謝を行っていた

コピー機

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 さて、最後はメディア業界ではないものの、かつては全社員の年収が800万超だったと言う、千葉県内のOA機器会社勤務・鶴岡壮一郎さん(仮名・20代)。 「コピー機を中心に、OA機器のレンタルやメンテナンスをやっていて、バブル期は新卒社員でも年収800万だったと聞いています」(鶴岡さん)  20代の鶴岡さんには理解ができない「バブル」を経験した社員たちの多くはすでに中高年。彼らは何をやっているのかと言うと……。 「コピー機のメンテナンスもできないような人は、取引先にプリンターのトナーや紙を届けにいくだけ(笑)。ですが、そんな社員はとうの昔に辞めたか、そうでない社員はしっかり勉強しています。IT化が進み、私たちのような仕事はいらなくなるとだいぶ前から言われていましたから、コピー機だけでなく、サーバー管理からITに関する雑務まで、いろんな作業をやっています」(同)  斜陽産業と後ろ指を刺されながらも、その裏では現場体制を刷新、しっかり新陳代謝が行えていたのだとか。会社名が「○○印刷」など、いかにも斜陽な企業でも、中身は立派な「IT企業」なんてこともあるのだという。

斜陽で必要なのは走り続ける「ガッツ」?

 ラストは、絶対に食いっぱぐれのない業界ではあったはずなのに「若者の車離れ」により売り上げが減っているという大手中古車チェーン店勤務の丸尾太陽さん(仮名・20代)の話。 「車? 売れませんよ! でも、あったらいいでしょ? お金がなければ、安い車を買えばいいじゃないですか? 買う気がなくても、買う気にさせるのが俺たちの仕事! 斜陽なんか知りませんよ。休みもそんなにありませんが、売れば売るほど給料は上がりますよ! やっぱ気合ですよ、ガッツ!」(丸尾さん)  ちなみに丸尾さん、前職は大手の住宅販売メーカー勤務。社内表彰を何度も受けるほどで、今の会社には「ヘッドハンティング」で転職。  「斜陽」といっても、完全に沈んだわではない。落ちていく陽でも「ガッツ」で追いかけ続ければ日陰に入ることはない……ということか。<取材・文/森原ドンタコス>
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