更新日:2021年11月12日 07:16
恋愛・結婚

既婚者でも恋がしたい?コロナで“純愛迷子”の中年男女が増えたワケ

ビビッとくる「運命の不倫相手」を探すアラフィフの美魔女

 そのため、新しい恋愛を求めて参加したのだという。だが、しつこいようだがこの男性も既婚者である。また、16歳の子供を持つアラフィフの美魔女はこう話してくれた。ファッションと合わせた色合いのネイルを施したほっそりとした指には、結婚指輪が光る。 「ビビッとくる出会いを求めているんです。ヤリチンの餌食になるのはまっぴら。私は、ただヤリたいわけじゃないから。だから、その日の参加者に出会いがなければ、その後は正直、地獄。だから、せめて食事だけでも楽しみたいなと、お店選びのセンスがいい既婚者合コンに参加しているんですよ」  少し前に参加した別の主催者のパーティではいい出会いがあり、数日前にはランチデートしたというが……。 「彼がどんな食事が好きですかと聞いてきたので、和食だと答えたんです。普通、デートだったら個室の割烹などを選ぶでしょう? それなのに彼が連れて行ってくれたのは、880円のアジ定食が評判の和定食屋。ガヤガヤした雰囲気で、食事をしたらサッと出ていかないといけないような場所ですよ。デートでここ?って腹が立ちましたね。わざわざメイクをして、お洒落をして、電車に乗って都心まで行ったのに880円はないでしょう。食事もせずに帰りましたよ」  帰宅途中、その妙齢の美熟女は、件の相手にきついアドバイスのメールを送ったそうだ。 「デートを楽しみたくて行ったのに880円のお店はないでしょと。これじゃ誰も付き合ってくれないよと。そうしたら、『子供が3人いて経済的に大変で……』とか言い訳じみた返事が来たんです。ここで子どもの話する?ってさらに幻滅しましたよ」  見た目でビビッと来る出会いがあっても、デートのエスコートや会話の内容などのチェック項目をクリアしないと真剣交際には辿り着かないようだ。川原でジュースを飲みながら肩を寄せ合うだけで幸せになれた10代のような恋愛は求めていないのだろう。ちなみに彼女は、その日、お眼鏡に叶う相手がいなかったらしく会が終了するやいなや即刻席を立ち、帰っていった。

惰性で続けてきた結婚生活と置いてきてしまった個人の幸せ

 前出の主催者の青木氏は、コロナで人生観が変わった人が多いのではないかと分析する。 「東日本大震災の時もそうでしたが、大きな天災があると、人って“果たして今のままでいいのだろうか”と自分自身を振り返るきっかけになるのではないでしょうか」  確かに、東日本大震災の時には結婚件数が一時急増した。今回のコロナにおいては「コロナ離婚」などという言葉が流行したように、自粛期間中に距離の近くなりすぎた夫婦が互いのイヤな面に気づいてしまい、離婚の選択肢を視野に入れる人が増えたとされている。だが「コロナで真剣交際を求めるようになる」とは一体どういうことなのだろうか。 「これまで惰性で結婚生活を送ってきた人が、コロナでじっくりと人生を見つめ直す時間ができ、『この人と一生結婚生活をし続けていっていいんだろうか。自分にとって本当の幸せとはなんだろうか』と自粛期間中に考えたように思えます。同世代の僕も同じですが、リストラの恐怖に怯えながら日々家族のために働いています。それが当たり前だと思ってきましたし、今でも家族を幸せにするのが優先順位として1番にあります。  でも、コロナに感染して命を失うかもしれないと考えた時に、個人の本当の幸せはどこにあるのかなと、ふと思ってしまった。その時に、真実の愛を見つけたいと思ってしまった。そんな人が多いのではないでしょうか」  古くから青い鳥は身近にあるものとされているが、彼らにとっての真実の愛は一体どこにあるのだろう。なぜなら、かつて“真実の愛”だと思い、生涯を共にすることを誓った相手に迷いが生じているのだ。真実の愛とはなんぞやと自らに問いながらそれを探すというのは、正解のない答えを探す迷宮に足を踏み入れていることになる。人生の迷い道で、彼らが見つけられる愛はどんなものなのだろうか。
フリーライター。性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に執筆。未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。愛人に走る女性をルポした『副業愛人』など著書多数。女性のお金や生活事情に関するルポ、詐欺事件を多く扱う。性とお金に対する欲望と向き合う人間をフィールドワークし、取材執筆を続けている。日本プロダクション協会の監事も勤めている
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