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「確定申告を行うホスト」は全体の2~3割程度?“現役税理士ホストが目指す「ホスト業界の納税意識を変える」熱い野望

ホストの世界において泣く子も黙るステータスであるのが、「1億円プレイヤー」という称号だ。繁華街に掲げられた大きな看板や、大音量で走りまわるアドトラックで目にした方も少なくないはず。その名の通り、年間1億円を稼ぎだす、いわば憧れの存在。ここまでたどり着けるのは、ごくわずか。ゆえに、トップホストであればこそ、地道な努力を欠かさないようだ。 ただ、一方で月の売り上げが0円というホストも存在する。なぜ明暗がくっきり分かれるのだろうか。前回の記事で、「ホストになったのだからトップを狙いたい」と宣言した“税理士との兼業ホスト”夜野仁さんに、ホストのお金事情を語ってもらった。
夜野仁さん

夜野仁さん

真のトップホストの売上は、19億円以上

ーートップホストとはどのような人をいうのでしょうか。 夜野仁:やはり年間売り上げ1億円が目安になるのではないでしょうか。現在、1億円プレーヤーは全国で129人いると言われています。月収にして500万円から1000万円のレベルです。ホスト自体は歌舞伎町だけで8000人いると言われており、全国になると何万人というレベル。ホストの明確な人数がわからないので、正確な数字は出せませんが、1億円プレーヤーはわずか0.1%程度。多くても、せいぜい0.5%くらいです。その中でもトップ・オブ・トップは桁違いです。2024年のNO.1となったプリンスこうやさんは年間売り上げが19億4000万円。佐藤せるてぃあさんは7億円です。 ーー目が眩むような数字ですね。 夜野仁:でも、売れているホストは注目されるものの、全体を見渡してみるとかなり厳しい世界です。売り上げが1ヶ月0円という人も当たり前にいますし、日給1万円程度もざらです。大多数のホストの収入は世間が思っているほど高くはありません。中央値で300万~500万円くらいなのではないでしょうか。

逆風が吹くも、「売れているホストは関係なく売れている」

ーー悪質ホストの売掛金問題による風営法の改正などホスト業界に逆風が吹いていますね。 夜野仁:はい、色恋営業で多額の売掛金を女性が作ってしまったがために、風俗店で働くことになったり、売春したりする……その際にホストが強要したということで逮捕されたというニュースも度々報じられています。 ーーこうした事情で苦戦している方も多いのではないでしょうか。 夜野仁:売掛金問題だけでなく、税務のルール改正、風営法、世間の風潮など、ホスト業界だけではなくナイトビジネス業界全体にとって厳しい状況が続いています。でも、売れているホストは関係なく売れています。時代の流れを捉えて、その流れに適応していくことが現在のホストにとっては必要不可欠です。 現役ホストの話ではないのですが、ホストとして成功をして大金を手にして、会社経営に乗り出す人もいます。でも失敗して、夜の世界に戻ってくるというパターンが多いんですよね。ホストの仕事は厳しく、トップを長く続けるのも大変です。とはいえ、引退後は起業したいと考えているのであれば、ホストをやっている間に経営について勉強することが大切です。ホストをやるにしても、その後のキャリアにしても、常に学びの姿勢を取り入れていかないと厳しい時代になりましたね。
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確定申告を行うホストはまだまだ少ない
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性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に取材・執筆するフリーライター。性とお金に対する欲望と向き合う人間のフィールドワークがテーマ。ショークラブダンサー等を経て、未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。高齢者の性を取材・執筆した『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社)など著書多数。性の仕事に対する差別や偏見解消に取り組む一般社団法人siente代表。

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