既婚者でも恋がしたい?コロナで“純愛迷子”の中年男女が増えたワケ
ある平日のランチタイム。都内某所にて、中高年男女に出会いを提供する合コンが開かれていた。この合コンは中高年向けのいわゆる婚活合コンではない。参加者は男女8名ずつで年齢は40代半ば~60代前半。全員が既婚者なのである。
男性ならスーツにやや派手目のネクタイ。中にはポケットチーフを刺す人も。女性は巻き髪にロングスカートのミセススタイル。ミヤケイッセイのプリーツプリーズやエルメスらしきスカーフをこの時とばかりにめかし込んでいるのが、年代を感じさせる。いずれも単独で参加しているようで、緊張した面持ちだ。当然、会話もぎこちなく、アルコールがほどよくまわり始めるまでは、笑い声が上がることもなかった。
こうした大人向け合コンを開催するLOVERSの代表・青木晃氏によると、自粛明け以降、参加者が2パターンに大きく分かれたという。
「もともと遊び人で、とにかくいろんな異性と出会ってヤリまくりたいという病的に遊びたい人のケース。もう一つが、真剣な出会いを探しているケース。真剣なタイプは離婚を視野に入れているケースもありますが、まずは恋愛をしたいという人が多いですね」
では、自粛前はどんな参加者が多かったのだろうか。
「ママ友以外の友達ができたらいいな……とか、仕事と家庭以外の繋がりが欲しいというのが参加の動機で多かったですね。その上で、『もし、できたら不倫相手が見つかればいいな』というフワッと軽い感じの人が多かったんですよ。でも、そういった人はコロナの感染リスクを恐れて参加も自粛傾向にあるようですね」
ちなみに、自粛空け直後に参加した人の中には、参加の前に何度も「どのような人が来るのか」や、「カップルが生まれる確率はどれくらいなのか」などの詳細についての問い合わせをするケースが多かったという。そんな前のめりな参加者の中にはパーティ終了後に、「1万円の参加費を支払ったのに、誰とも出会えなかった。どうしてくれるんだ!」とクレームを入れてくる人もいたそうだ。
「それだけ熱意を持って参加してくれる方たちが増えているんです。最近は特にご新規で参加される方が多く、参加者の8割程度が新規の方で、リピーターは2割程度です。友達同士ではなく、お一人で申し込みされる方がほとんどですね」
だが、忘れてはならないのが参加者は皆、既婚者だということだ。家に帰れば、配偶者がいて子供もいる。長期休暇ともなれば、家族で旅行することだってあるだろう。そこには、子供の可愛い笑顔があり、成長する姿を見続けることは紛れもない幸せの一要素だ。もちろん配偶者への不満が一切ない人はいないだろう。夫婦だけなら籍が入っているか否かだけで、基本は男女関係だ。だが、子供の思い出を曇らせるリスクを取ってまで、真剣な交際を望むとはどういう心境なのだろうか。
「こないだ参加したパーティで『あなた、セフレいるでしょ?』って聞かれ、唖然としましたね。バカにするなよと。いい人がいれば付き合いたいと思って参加しているのに。僕はセフレじゃなくて彼女が欲しいんですよ」
こう話すのは50代前半の男性だ。外資系企業でコンサルタントをしており、過去に2年間付き合った彼女がいたという。真剣にお互いが向き合う相思相愛だったというが、金の切れ目が縁の切れ目だったのか、彼がコロナ禍でリトスラにあい3月末に失職したタイミングで別れとなった。
「ようやく9月に再就職先を見つけたのですが、相手も自分も熱が冷めてしまったようで……。LINEでの連絡は今も取り続けているのですが、付き合いを復活させたいとは思えないんですよね」
とにかく恋愛をしたい!と語る中高年既婚者たち
セフレではなく彼女が欲しい50代既婚男性
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性風俗、女性問題、金融犯罪などを中心に取材・執筆するフリーライター。性とお金に対する欲望と向き合う人間のフィールドワークがテーマ。ショークラブダンサー等を経て、未婚で1児を出産後、結婚。3児の母。高齢者の性を取材・執筆した『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社)など著書多数。性の仕事に対する差別や偏見解消に取り組む一般社団法人siente代表。
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