年末年始に「ヤミ帰省」を目論む人たち。水道業者を装う場合も
コロナ感染拡大「第三波」の真っ只中、政府はついに、年末年始期間の12月28日から2021年1月11日まで「GoToトラベル」キャンペーンを全国一斉に一時停止することを発表。マスコミや野党だけでなく身内からも「判断が遅い」と追求され、観光業界からは怨嗟の声が政府に向けられる始末だが、12月16日、日本医師会は移動こそが感染を拡大させるとして「率直に評価したい」と話した。
しかし、この混迷の中、GoToキャンペーンの有無に関係なく、是非とも旅行……いや「帰省」をしたいという人たちもいる。彼らが今、目論んでいるのは、年末年始の「ヤミ帰省」だ――。
「すでに祖父が危篤、と周囲に触れ回っています。近い身内に不幸がありそう、そんな理由じゃないと帰省は許してもらえませんから」
こう話すのは、東京都内在住の会社員・美濃島公平さん(仮名・20代)。地元愛が強く、コロナ以前はほぼ毎月実家に帰省していたがそれも叶わず。
正月だけは絶対に帰ると息巻いていたが、会社が美濃島さんに突き付けたのは「県を跨ぐ移動の禁止」だった。
だからこそ思いついたのが、先の「身内の不幸」の前フリだ。古典的すぎて、バレバレな気もするが……。
「上司も相当疑っていますし、会社用の携帯はGPSで居場所がすぐバレる。だから、留守番の妻に協力してもらい、社用携帯は東京の家に置いて行きます。会社から社用携帯に電話がかかってきたらハンズフリーにした状態にして、妻の携帯から私の私用携帯にかけてもらい……。
いかにも東京から出ていないように偽装工作をするのです。音が反響したり大変でしたが、試行錯誤の末、誤魔化すことが可能になりました(笑)」(美濃島さん)
楽しいはずの帰省も「ヤミ」となれば、しなくてもいい苦労がつきまとう。
大阪在住で九州の実家に帰省予定という大学講師・西岡善彦さん(仮名・30代)は、実家の周辺住人から厳しく「帰省」を監視されている。
「実家は田舎で、帰省したら周囲の目も気になる。研究用の資料を自室から探し出す必要があり、絶対に帰りたいんです」(西岡さん、以下同)
関西ナンバーの車で帰省したら一発でバレる。車を使わなくとも、大きなバッグを持って歩いていれば、やはりすぐバレる。そこで西岡さんが考えたのは、帰省の際に、地元で水道工事屋をしているという友人の協力を仰ぐことだった。どういうことか。
「地元の駅に着いたらすぐ友人に迎えにきてもらって、そこで作業着に着替え、実家に送ってもらいます。外から見ても、水道工事屋がきたとしか思われないでしょう」
やりすぎとも思えるが、夏に帰省した時、近隣住人が西岡さんの大学に「通報」したためだという。
「学校も帰省などの移動は控えるようアナウンスしています。また通報されたりしたらたまりませんからね……」
「年間年始は実家に帰りたい!」“ヤミ帰省”を目論む人たち
水道業者を装って…
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