恋愛・結婚

離婚を語るとき、男は気持ちを言葉にできない。男女でちがう離婚の言い分

 2018年から足かけ4年、女子SPA!でバツイチ男性に話を聞くルポ「ぼくたちの離婚」(角川新書より書籍化)を連載している。昨年から『グランドジャンプめちゃ』(集英社/作画:雨群さん)で漫画版もスタートしたが、そこで初めて女性から聞いたエピソードを取り上げることとなった。  そのCase#06(「めちゃコミック」では014話~)に登場する藤堂由美さん(35歳・仮名)は、“一般的な結婚観”を持たない女性だ。
『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

 会社の上司・昭二さんと結婚した由美さんは、ごく普通の夫婦生活を“窮屈”だと感じはじめ、やがて昭二さんと「子供を作る、作らない」の話で衝突する。彼女は子供が欲しくなかった。理由は、「何かあったら別れればいい。子供がいたら別れにくくなる」と思っていたから。今までの人生で子供を欲しいと思ったことは、一度もないという。
『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

『グランドジャンプめちゃ 2月号』「ぼくたちの離婚」第6話より

衝撃の告白をする由美さん。続きは『グランドジャンプめちゃ 2月号』で!

 これまで多くの離婚経験者から話を聞いてきたが、結婚や離婚の形の多様さには、いまだに驚かされることばかりだ。  実は、バツイチ女性に離婚経験談を聞いたのは、今回が初めてではない。「ぼくたちの~」というタイトルが示すとおり、連載が男性縛りだったため、女性に対しては原稿化を前提として聞いていなかっただけだ。  彼ら、彼女らに話を聞いていくうちに、わかったことがある。筆者への離婚話の打ち明け方、話し方が、バツイチ男性とバツイチ女性とではまったく異なるのだ。以下、5つの傾向にまとめてみた。

1. 男は時系列順に話す。女は話したいことから順に話す

 男性は「妻との出会い」から、きっちり時系列順に話してくれることが多い。時系列順が崩れる際には大抵、丁寧に注釈を入れてくれる。「この話、長くなるんで、途中を端折って先に結論から言うと……」「さっき言い忘れたんで、少し話が戻っちゃうんですが、この衝突が起こった原因は……」。彼らの頭の中には正確な“離婚年表”が編まれているのだ。  しかし女性は、夫婦生活や離婚プロセスの中で、一番伝えたいことから順に話す。夫の許せない一言、離婚時のひどい仕打ち、子供が生まれた時に何ひとつ家事をしてくれなかったこと――。しかも、あるエピソードを話しているうちに彼女たちの内に湧いてきた感情が、同じ感情を抱いた別のエピソードを瞬時に呼び起こし、話はどんどん飛んでいく。「離婚係争中に、夫が私に『君は自己評価が低い』って言ってきたんですよ! そうそう、自己評価と言えば私、大学の頃付き合ってた彼にも同じことを言われて、すごく腹が立って……」といったように。

2. 男は「その時の気持ち」をうまく説明できない。女は正確に説明できる

 男性は、過去のあるエピソードについて筆者が「その時、どんな気持ちでしたか?」「なぜあなたは、そういう行動を取ったのですか?」と聞いても、言葉は少なめ。客観的事実を細部まで淡々と語れても、その時の自分の心境を細やかに言語化できない(人が多い)のだ。いくら聞いても、「腹が立った」「ショックだった」といった陳腐な語彙でしか、当時の自分の気持ちを説明できない。
男性

画像はイメージです

 対して、あらゆる離婚エピソードをエモーションファーストで話す女性は、「その時、何が起こったか」よりも「その時、わたしがどう感じたか」の説明に力点を置く。その語彙は豊富で、臨場感にたっぷり。ついさっき激しいケンカを終えてきたかのようだ。話に聞き手を引き込む力もある。  上記の【1】を踏まえると、女性の語りは一見してまとまりがなさそうだが、ストーリーを語るのが上手いため、離婚の決定打が何だったのかも話を聞くなかで明確になっていく(つまり原稿化にあたって、読み物の「ヤマ」を作りやすいとは言える)。
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男は「社会の物差し」、女は「わたしの物差し」
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