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是枝監督とリリー・フランキーが語る『万引き家族』の名優たち

カンヌ最高賞に輝いた“究極の家族映画”に必要不可欠な名優たち


第71回カンヌ国際映画祭で最高賞・パルムドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』。同作は俳優リリー・フランキーにとって4本目の是枝作品であり、はじめての主演作だ。
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是枝裕和×リリー・フランキー

是枝裕和(左)、リリー・フランキー

是枝:『そして父になる』(’13年)のとき「これから是枝監督の作品には全部出たい」って言ってくれたんですよ。だから今回はプロットの段階からリリーさんで当て書き。

リリー:監督の現場では密度の高いものを作っている心地よさを感じるんです。だから呼ばれないとさびしい。呼ばれないときは見学に行ってる(笑)。

是枝:リリーさんは、演技する上で「何もしないことが一番強い」とはどういうことかを完璧に摑んでいます。しかも役者として「こう見えたい」という欲がない。結果、人間みんなが持っているちょっとしたダメなところが、芝居からすごく繊細ににじみ出てくる。僕はそこがとても好きなんですよ。

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 『万引き家族』は、犯罪によって生計を立てる家族の日々を描いた物語だ。初枝(樹木希林)の年金をあてにして、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、その息子・祥太(城じょう桧かい吏り)、信代の妹・亜紀(松岡茉優)がみすぼらしい平屋に住んでいる。足りない生活の品は治と祥太が協力して万引きを働き、補う毎日だ。ある日、治は団地の廊下で心細そうにたたずむ少女ゆり(佐々木みゆ)を家に連れて帰り、娘として育てることにする。
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是枝:今回はリリーさんが醸す「ダメさ」を全面的に展開しています。

リリー:監督に「成長しない“でくのぼう”でいてください」って言われたんですけど、最初は難しくて。でも撮影が始まったらわかってきました。祥太は成長するにつれて、万引きに罪悪感を抱くんですが、そこで大人なのに罪悪感を抱いていない治を発見してしまうんです。僕自身、自分の父親をそういう目で見たことあるなと思い出して、ああ、そういうことかと。親がちっちゃく見える瞬間というか。

是枝:治がゆりを連れて帰るのは深い考えあってのことじゃないけど、それによって周囲の何かがちょっとだけ変わっていく。にもかかわらず、本人の内面は誰よりも成長しない。ただ、成長しないんだけど、彼を見てるとすごく切なくなる。演じるにあたって、とても難しい役どころだったと思います。

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圧巻の息子役・城桧吏と3世代の“バケモノ女優”

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万引き家族
監督・脚本・編集/是枝裕和 出演/リリー・フランキー、安藤サクラほか
配給/ギャガ
6月8日より全国公開





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