吉田さんが作るのは、季節野菜を中心とした体に優しい中国家庭料理。素材の味を生かした滋味深さに溢れ、定番メニューのすべてに「解熱」「老化防止」「疲労回復」といった医食同源にもとづく効果が謳われているのもうれしい。お店を出るときは、いつも胃がすっきり整うので、毎回食べながら「これ、全部いけるね」っていう話になるけれど、個人的な印象としては、巻いてるものが多くない？ってこと。 　定番メニューだけでも、もやしの湯葉巻きに板春雨の海老巻き蒸し、海老しそ春巻、さらには蒸し餃子だって、茹でワンタンや揚げワンタンだって、言ってみれば巻いているようなもの。そのうえ日替わり、週替わりのメニューにも変化球の巻いたものがあって、カリカリだったり、柔らかかったり、サクサクだったりと、カタチも食感もそれぞれだけれど、共通しているのは常に守られているという感じ。私まで包まれて守られているようで、なんだかホッとするのよね。さては私にも守られたい願望があるのか？ 　あとは蒸しものもすごくおいしい。営業中ずっとセイロがホカホカしてるところがなんともいえず和む景色。吉田さんのレシピ本『「蒸す」って、おいしい。』（文化出版局）は私の蒸し料理のバイブルで、ものすごく作ってる。何を作ってもおいしくて、みんな蒸籠と一緒に買ったほうがいいと薦めたくなるくらい。今日持ってきてサインしてもらえばよかったなー（なんというミーハー心）。