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化学調味料を使わない中華の名店。カリカリ、つるん…食感がたまらない

 食いしん坊編集者・ツレヅレハナコさんのもとには、類は友を呼ぶで、老若男女、有名無名を問わず、胃袋でつながった仲間たちから、旨いもの情報が集まってくる。ハナコさんは、それらを書き留めた秘密の手帳を“閻魔帳”と名づけ、それを片手に東へ、西へ。仲間たち(=諜報員)のおススメの店を訪ねてきたハナコさんが、彼ら彼女らへの感謝の気持ちを込めて、自身が愛するお店の中から、それぞれにぴったりのお店を返礼として紹介するこの企画。『東京ウォーカー』(KADOKAWA)で好評だった連載が『日刊SPA!』にお引っ越しして、今回は第4回目となりました。

ホッとする店では、ホッとするものが食べられるよねと確認し合いたいから

ジーテン

代々木上原駅から徒歩5分。駅前商店街にオープンして22年。今でこそ、代々木上原はおいしいお店が多い街というイメージがあるけれど、ジーテンはその先陣であり筆頭。仕事やプライベートの食いしん坊仲間もみんな「いい店だ」と口を揃える

 今回のお店はコチラ。キッチンマカベ(祖師谷大蔵/洋食)を教えてくれた諜報員011(40代女性/料理・食材コンサルティング)にハナコがお返しに教えたい店9は、代々木上原の吉田風中国家庭料理ジーテンさん。

控えめなのに、パシッと決まった味

ジーテン

1964年岩手県生まれ。調理師学校を卒業後、「四川飯店」を経て、代官山「LINKA」で化学調味料を使用せず、素材を生かした料理を身につける。代々木上原「正宇治」の料理長を務めた後、1999年に「ジーテン」を開く。ご出身・岩手の食材を積極的に使っているところも印象的

 料理は人なり。このお店に来るたびにそう思う。初めて来たときから、店主の吉田勝彦さんがニコニコ迎えてくれて、ものすごく感じがよかったし、出てくるお料理もお人柄そのままに全部優しい。
ジーテン

やさぐれた気持ちの女同士2人とか4人とかで行くと、吉田さんの笑顔と料理にホッとして、帰りはみんなちょっと元気になっている。チンタオビール(小びん)¥600、カメだし紹興酒1合¥800

 それまで私の中での中華といえば、激しさ命みたいなところがあって、にんにくも唐辛子もバンと効いてて油もたっぷり。何でもかんでも過剰なくらいパンチがあるものがよくて、そうじゃなければ中華じゃないくらいに思っていたけれど、“過ぎないことのよさ”に気づかせてくれたのがこのお店。化学調味料不使用というところばかりが評価され、確かにそのよさもあるけれど、控えめなのにパシッと味が決まっていて、決して物足りなさを感じさせない。それって僭越ながら、すごい技術だなーと思う(上から目線でスミマセン)。
ジーテン

シャキッとした歯ごたえが絶妙なインゲンのカラカラ炒め¥1,200。「どうしてあんなにカリカリになるんだろう?」とつぶやくと「一度油で揚げてるから」と吉田さん。ジーテンと言えばこの料理という人も多く、代官山「LINKA」時代から30年以上作っている定番中の定番。高血圧にいいらしい

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季節野菜を中心にした中国家庭料理
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食と酒と旅をこよなく愛する編集者。雑誌などのメディアやTwitter、Instagramでレシピや美味しいお店を発信中。新刊『ツレヅレハナコの2素材で私つまみ』がKADOKAWAより好評発売中。他にも『女ひとりの夜つまみ』(幻冬舎)、『ツレヅレハナコの薬味づくしおつまみ帖』(PHP研究所)『ツレヅレハナコの南の島へ呑みに行こうよ!』(光文社)、『女ひとり、家を建てる』(河出書房新社)など著書多数。Twitter@turehana instagram@turehana1

ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳

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