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今年の新入社員に「モンスターはいない」。コロナ禍が転じて

 新年度が始まり、毎度お馴染み「モンスター新入社員」取材を敢行すべく、企業経営者や中間管理職に就く人々に聞き取りを開始したのだが、今年は雰囲気が違う。何かエピソードを教えてくれ、話してくれと言っても、首を傾げるばかりなのだ。 「去年までは“モンスター”と言って笑っていれば良かったんでしょうけど、今年の新人は明らかに違う」    こう話すのは、東京都内の会社に勤務する中島法子さん(仮名・30代)。いったい、どういうことなのか?

今年は「モンスターがいない」

社員

※写真はイメージです(以下同)

「新卒の子たちは、いちばん多感だった小学生高学年の時に東日本大震災を経験し、就活中にコロナ禍を経験している。学歴やスキルが低かろうと、社会で働くことを本当に楽しんでいる新人が多いように感じる」(中島さん)  中島さんは毎年この時期、仕事ができない新人や常識が通用しない新人の登場に頭を悩ませていたが、今年は「モンスターがいない」というのである。 「2年目の部下に話を聞くと、“今年もモンスターとか言って騒ぐんですよね”とズバリ。自分より低いところにいる人の存在は精神安定剤にもなるが、それでは何も成長できないと話し始めて。私たちもびっくり。もちろん仕事ができないのは当たり前で、私たちができるように教えるのも当たり前。考え方が変わってきています」(同)

青春時代に震災やコロナ禍を経験

 実際、鉄道会社に就職した新社会人・小久保智さん(仮名・20代)も、自分たち若い世代が「モンスター」と形容されていることを知るひとり。だが、それを不満に思ったことはないと話す。 「最初からできるんだったら会社に入らずひとりでやればいいし、モンスターとか言っている大人たち、先輩方は冷静に見て仕事ができないというか。礼儀がないと思います」(小久保さん)  小久保さんは宮城県出身。関西出身の両親は阪神大震災で被災し、東日本大震災では自らも被災。コロナ禍で実家の家業も傾き、一時期は大学をやめることも考えた。遊びたかった時期に我慢を強いられ、景気が良くないとされる時代に青春を送らざるを得なかった。  そんじょそこらの大人より、人間として強くなる経験を積んでいるのだ。
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「モンスター」が秘める大きな可能性
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