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ゲームプログラミングソフトを発売した任天堂。原点は「ファミリーベーシック」

 6月11日に任天堂からNintendo Switch向けタイトル『ナビつき! つくってわかるはじめてゲームプログラミング』が発売されました。「任天堂の開発室から生まれたプログラミングソフト」をキャッチコピーにした、誰でもゲームプログラミングの考え方が学べるタイトルです。

オリジナルゲームを作って遊ぶ!

ナビつき! つくってわかるはじめてゲームプログラミング

『ナビつき! つくってわかるはじめてゲームプログラミング』公式サイト。「ノードン」というキャラをつなげるだけで、ゲームが作れる

 初心者でもナビに従えば簡単にゲームが作れ、自作ゲームをオンライン上に公開して他プレイヤーに遊んでもらうこともできます。 『スーパーマリオメーカー』もそうでしたが、世界中の人がアイデアと工夫に満ちたオリジナルゲームを公開することで、それをプレイするゲーム実況動画の人気が上がり、ソフト自体もじわじわヒットする……そんな可能性を秘めています。  通常のタイトルとは毛色が異なる「教育ソフト」の性質を持った本作ですが、その狙いは大きくふたつあると思われます。

プログラミング教育とゲーム機

 まずひとつは2020年に必修化されたプログラミング教育に合わせての取り組み。公式サイトには「本作は学校教育に対応した製品ではなく、独自のゲームプログラミング体験によって、楽しみながらプログラミング的思考に触れられるソフトです」と書かれていますが、高まるプログラミング教育熱を受けて企画されたのは間違いないでしょう。  プログラミング教育においては米マサチューセッツ工科大学メディア・ラボが無料で公開しているプログラムソフト『Scratch(スクラッチ)』が教育現場では代表的な存在です。この『Scratch』はPCやタブレットで手軽に利用することができます。
Scratch

子供たちが簡単にアニメーションやゲームを作れる『Scratch』

 1983年にファミコンが発売されて以降、子供たちが最初に触れる“コンピュータ”はゲーム機が主にその位置を占めていましたが、現在はタブレット(スマホ)が主流となりつつあります。動画もゲームも勉強も、タブレットひとつで完結します。  あとでも触れますが、ファミコンの周辺機器「ファミリーベーシック」を発売していた任天堂としては、“プログラミングを学べる機器”の役割を、ゲーム機が担いたいという想いがあるでしょう。
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ゲームを作るという楽しみの復権
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ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も

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