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乱立するプログラミング教室に通えば、子どもは本当に賢くなるのか

 2020年度から小学校で必修化されるプログラミング教育。だが、プログラミングという言葉自体、馴染みのない人がほとんどではないだろうか。そこで不安をつのらせているのが就学中の子供をもつ親たちだ。学校でプログラミング教育が始まったら果たして我が子は授業についていけるのか……そんな親世代のニーズに対応すべく増えているのがプログラミング教室である。
プログラミング01

*画像はイメージです

プログラミング教室は5年間で6倍もの増加率

 GMOメディア株式会社が運営する『コエテコ byGMO』が株式会社船井総合研究所と共同で行った調査によると、プログラミング教室の数は2013年の時点で750件だったのが、2018年には4457件と約6倍も増加。さらに同調査では、2023年には2013年の約15倍の1万1127件にのぼると推計している。 「ここ3~4年で急激に新興の教室が増えたと実感している」と語るのは、横浜市でロボット・プログラミング塾を経営している橋爪氏だ。同氏の塾は約15年前から運営しており、業界の老舗ともいえる存在である。 「要は同業者同士の生徒の取り合いですからね。新規募集をかけても、生徒が新興の教室に流れている印象はありますよ。ウチの塾では小学校低学年の子は大きめのブロックを使って基本的な概念や理念を理解してもらうことから始めますが、最近は幼稚園児にパソコンを触らせてロボットを動かす塾も増えています。目新しさといった点ではウチは見劣りするのかもしれませんね」

プログラミング=ITスキル? プログラミング学習の意義

 ただ、橋爪氏はこうした新興のプログラミング教室の学習効果については懐疑的だ。 「もちろんちゃんとした教室もありますが、フランチャイズ化している大手の教室では、各生徒にプログラミング用のキットを購入させて説明書通りにロボットを組み立てさせているところも多いようです。でも、設計図通りにロボットを作るのであれば、別に特別な能力は必要ないですよね。わざわざ高い月謝を払ってまで教室でやることなのか甚だ疑問です」  そもそも、“プログラミング学習=ITスキルを習得する訓練”だと思われがちだが、すべての子供が将来プログラマーになるわけではない。大切なのは目的を果たすための解答を自力で導き出すための論理的思考能力を養うことであり、そうした能力が近年ではプログラミング的思考などと呼ばれているのだ。 「小学生がやるプログラミングとは、コンピュータ言語を学ぶことではありません。プログラミングはあくまでも道具であり、論理的思考力を身につけることに本当の意味があるのです。思考力を鍛えることで、設計図通りにロボットを作るのではなく、ロボットの設計図が書ける人になります。これらの能力は将来IT以外の分野についたとしても役立つでしょう」  パソコンやロボットなどは、プログラミング的思考を鍛える過程で使われる学習教材にすぎないが、多くの人が解釈を履き違えていると橋爪氏は指摘する。
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数万円の教材購入もザラ
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