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“ネットの誹謗中傷をなくす”団体の代表が炎上。“お前が言うか”祭りになったわけ

ネット上の誹謗中傷をなくす団体の代表が、過去のツイートで炎上

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次から次へと出てくる、ネットの誹謗中傷問題。そこには偽の正義も存在する?

 これほどまでに「お前が言うな」の声が広がった鮮やかな炎上は、滅多にお目にかかれるものではないだろう。    去る5月、SNS誹謗中傷を無くすための持続的な活動を掲げ意気揚々と立ち上がった団体が、ド派手に燃えた。一般社団法人「この指とめよう」。    その代表を務めるクリエイティブディレクターの小竹海広氏が、過去に有名子役を名指しして「死ね」とツイートをしていたことが明らかになり、そこに対する非難は収拾がつかなくなった(小竹氏は5月30日、「過去の私の不適切ツイートについて お詫び」という文書を画像にして、自身のTwitterに掲載した)。  団体の主な活動内容を見ると、「監視チームでSNS誹謗中傷が多く発生していると判断した場合には、啓発広告を配信」とある。  その誹謗中傷の想定は「差別一般(レイシズム・セクシズム・ルッキズム・エイジズム・障害者差別等)」を主とし、「その中に含まれない誹謗中傷に類される事案については運営メンバー・アドバイザリーボードによる協議の上で定性的に最終判断を行う」とあった。 「未就学児・小中学生等を対象に、童話をもとにした啓発図書を作成。教育機関や出版社と提携し、児童への図書の寄付活動を行う」とまで。  これらを読み、正義以外の何かを感じとった方もいるだろう。  代表が炎上する前のわずかな期間でさえ「何様のつもり?」の空気感はあった。頼んでもいないのに勝手に基準を作ろうとしたような態度に加え、団体アドバイザーの人選の偏りなども物議を醸して、多くの人が嫌悪感を示していた。過去に誹謗中傷の被害に遭って真摯に警鐘を鳴らしてきたタレントや著名人が、この団体のことをガン無視したのも気になる。やはり「何か」を察したのだろうか。

「やったらやり返される」のもネットの世界

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誹謗中傷ログを保存する弁護士集団のアカウント(現在は閉鎖)

 思い出すのは、ツイッター上に突如「誹謗中傷ログを保存する弁護士集団」なるアカウントが現れた時のことだ。結局「弁護士の名義貸し」などが問題視され、「表現を萎縮させる」と多くの批判を浴びたあげく、ことを穏便にしたつもりか「悲しい投稿を保存する弁護士集団」として再出発。なんのこっちゃ誰にも分からなくなって、その存在は悲しく忘れられて消えてしまった。  こうした有象無象の集団がルール作りや取り締まりで幅を利かせるまでもなく、誹謗中傷問題が深刻になっているのは分かる。ネットが現代ではリアルと地続きであることを多くの人が認識しているから、被害者を守るための法の力がまだ弱いと感じる人もいることだろう。  人に向けての意見を発信する際に、過度な人格否定や無関係な容姿いじり、行き過ぎた表現に気を付けることは大前提。しかしながら、あえて考えてもらいたいのは、人それぞれの感じ方がある限り「誹謗中傷」と「表現の自由」とはトレードオフということだ。  意見論評の権利は誰でも保証されるべきで、それにより誰かを傷付けていい訳ではないが、何でもかんでも「傷付けられた」と喚いたっていい訳でもない。石を投げたら石を投げ返されるのがネットの世界。否定的な意見が渦巻くことになった背景はきちんと見る必要がある。誤解を恐れずに言えば「お前が悪い」ことだってある。  例えば、テレビの演出で悪役を演じていた俳優を憎悪して、本人に直接「死ね」と言うのは誹謗だし、平素の人格や家族の問題にまでしつこく言及すれば中傷に違いない。  そういった明らかにいわれのない被害とは違い、違反行為をしておいて開き直る者や、デマを流すなどして社会の危機を招いた者は、大勢の批判の声によって社会的制裁を受けるのが道理というものだ。そうしろと焚きつける訳ではない。だが、大勢に論じる権利がある以上は必ずそうなる。そこに思慮の浅い人や過度な攻撃をする人がいることが問題なのだ。不特定多数が自分の意見を述べること自体は決して悪ではない。
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「素性を明かさない人に発言権はない」は本当か
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