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“ネットの誹謗中傷をなくす”団体の代表が炎上。“お前が言うか”祭りになったわけ

「素性を明かさない人に発言権はない」は本当か

 そしてこのところ、「匿名での活動が悪い」という風潮が作られつつあることも気になる。  ネットで「こっちは素性を明かしているのに」などと憤っている人を見るたび、いつも違和感を覚える。そっちの都合で顔を晒して名乗っているだけだろうと。  有名人でもない者の実名顔出しなどに何の意味もない。筆者の本名は黒田誠二。東京都渋谷区の高級タワーマンションに住む32歳で、顔は若い頃の竹野内豊と瓜二つなのだが、戸籍や免許証でも載せない限りはどこまで嘘でどこまでが本当なのか知る術は全くないだろう。(顔写真も今は加工でどうとでもできるし)。そして、それらを明かしても私がライター活動する上でのメリットがないと判断しているだけだ。  タレントや著名人や“インフルエンサー”らが実名でネットを利用するのは自由意志なのだから、変なアカウント名やペンネームで活動するのだって自由だ。実名顔出ししないだけで人格を軽視されるなら、それこそネット上でのルールを勝手に決めるようなもの。「素性を明かさず人を傷付ける奴」をけん制する目的で、「匿名」での活動を非難するのは筋が違うと言いたい。  犯罪行為の抑止が理由で、個人情報を開示する手続きのハードルを下げることには、前述した「表現の自由」を過度に侵さない限り異存はない。悪質な書き込みや嫌がらせに対しては法の力を頼っていい。しかし、最近はそれを逆手にとるような卑劣なやり方が横行しているようだ。  YouTuberや“インフルエンサー”がわざと批判されるような言動をして、そこに集まった声から「悪口」をピックアップし、法的措置による発信者情報開示請求を乱発する輩がいるらしい。それによって局地的な意見論評は委縮させられるかもしれないが、本当に苦しむ人達を救う動きに繋がるとはとても思えない。

誹謗中傷されたと騙る「当たり屋」は恥を知れ

 誹謗中傷は「傷付けられた」との本人の訴えで成り立つはずだ。見たくないはずの辛辣な言葉を、(誰かに依頼するにしても)わざわざゲーム感覚のように探すなど正気の沙汰とは思えない。それで法をチラつかせ「自ら謝罪して示談金を払った方が得だ」などと半ば脅しのようなことをした者もいると聞く。まるで「当たり屋」だ。  このような行為こそ、悪質なネット書き込み抑止と並行して法整備をして取り締まる必要があるのではないか。それだけは、たとえ全身の血液を入れ替えられようと、ガムテープで口を塞がれようとも、強く抗って言わせていただきたい。  批判されるような言動を棚に上げ、マイナスの声をどんどん封殺し、ついでに慰謝料や示談金が欲しいという利己的な動機のくせに、「世の中のために」などと詭弁を弄する連中がいるせいで、いわれなき書き込みに本当に悩んで法的措置を検討する人までも同じように見られてしまう。 「この指とめよう」が、その方針や人選を見直して再出発するつもりであれば、このことはぜひ念頭に置いてもらいたい。    被害者を装いながら誹謗中傷問題に便乗する輩は、恥を知ってほしい。 <文・黒猫ドラネコ>
九州出身。30代後半のライター。怪しいスピリチュアルや陰謀論、信者ビジネスなどを観察し潜入取材も敢行する。超甘党。 Twitter:@kurodoraneko15
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