仕事

SDGsで現場に押し付けられた無理難題「すでに持続不可能な状態だ」

上司「流行りもんだからクライアントにガンガン提案していけ」

プレゼン「急にSDGs関連の企画を出せ、と言われてひどい思いをしています。ああ、これも新たな利権と捉えているのかと納得しましたが」  神奈川県在住の広告代理店社員・中村勇樹さん(仮名・30代)も、理想……という名の厳命に目が眩み、無茶な要求ばかりを連発する上司に辟易しているという一人。 「グループ会社全社でSDGsを実現しよう、という意気込みはいいんですよ。役員はみんなあの虹色のバッジをつけたりしてね。でも、じゃあ具体的に何をしようと言った時に、誰も何から始めていいかすらわからない。それでも流行りもんだからクライアントにガンガン提案していけ、とハッパをかけられています」(中村さん、以下同)  コロナ禍で続く広告不況を乗り越えるためにも、新たな「ネタ」としてSDGsを使う、という目論見のようだが、流行りものだから、という浅はかなヴィジョンのまま、部下にプレッシャーがかけられるだけの残念すぎる展開なんだとか。  せっかくの理想や目標も、現場の無理解が放置され、ファッションや商機としてしか捉えられない人々ばかりが暗躍しているようでは何の意味も持たないのである。

「持続不可能な状態だ」なんて笑うことしかできない

「理念には共感できるんですが、当然痛みも伴うわけで。新たな出費は当然出てくるし、コストは割高になる。でもそれだと会社的にはダメで、カネをかけずにやれ、そして儲けろというわけです。無茶です。追い込まれた我々は、すでに『持続不可能な状態だ』なんて笑うことしかできませんが」  数年後、「SDGsとかいうのがあったけど、あれ何だっけ?」なんて言われていなければいいのだが……。 <取材・文/森原ドンタコス>
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