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『ドラゴン桜』を見た東大生が「不合格組も実は勝者」だと伝えたい理由

『ドラゴン桜』の本質とは?

 別に『ドラゴン桜』の本質は、きっと東大受験でなくてもよいのです。  その人が本当に心の底から美容師になりたくて、一生それで食っていくという覚悟があるのであれば、桜木先生はきっとその人の背中を押してくれる気がします。  彼が東大受験を勧めるのは、その挑戦が一番低リスクで、リターンが大きい選択だからなのだと僕は考えています。

不合格になったから「敗者」ではない

『ドラゴン桜』の最終回、東大を目指した受験生たちの明暗は分かれます。少し前までとても東大を目指せる状況ではなかった生徒の多くが見事に合格を果たした一方、藤井遼くんと早瀬菜緒さんの2人は不合格となってしまいました。  きっと「普通」の人たちは、鬼の首を取ったように「それ見たことか!」と彼らを嘲笑うでしょう。まるで自分に言い聞かせるかのように「これが現実なんだよ」と叫んでいる姿がありありと目に浮かびます。しかし、僕は藤井くんも早瀬さんも敗者ではないと思っています。  仲間を守るために受験当日に利き手を負傷したものの、周囲のせいにせず、来年の東大合格を誓った藤井くん、自らの意思で別の大学への進学を決めた早瀬さん。東大受験が始まる前の彼らでは、きっとこんな選択をすることはできなかったでしょう。  自分の人生を自分の力で切り開こうとした2人は、東大受験を通じて、確かな経験と自信を得ました。  共通テストであえなく敗れてしまった小橋辰徳と岩井由伸のヤンキー2人組も同様です。他人の目を気にして、意地でも「普通」から脱しない、挑戦しない人では辿り着くことのできない境地に彼らはすでに辿り着いたのでした。
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人生で本当にこだわるべきもの
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