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大量閉店いきなりステーキ。不調理由は「いきなり」ではなかった!2つの深刻要因

「600店舗の壁」以外にもあった大借金という落とし穴

 話をいきなりステーキに戻しましょう。  では、ペッパーフードサービスの業績悪化は決算書のどこに現れていたのでしょうか。「600店舗の壁」以外にもヒントはありました。ヒントは、キャッシュフロー計算書です。  注目したいのは「投資キャッシュフロー(以下、投資C/F)」と「財務キャッシュフロー(以下、財務C/F)」です。   ペッパーフードサービスの連結キャッシュフロー計算書を見ると、投資C/Fのマイナスが年々増加していることがわかります。一方、財務C/Fは5年連続でプラスとなっています。これはどういうことでしょうか。  一般に、企業が借金し、手元資金が増えると財務C/Fはプラスになります。つまり一口で言うと、ペッパーフードサービスは「外部からの借金を増やして、投資しまくっていた」ということです。  もちろん、借金それ自体は悪いことではありません。しかし、ペッパーフードサービスは違ったのです。連結キャッシュフロー計算書を見ると、2016年に財務C/Fが約3億円だったものが、2017年には約13億円に急拡大しています。  これ、不自然ではありませんか?こんなお金がなぜ急に増えたのか。答えは、急に借金の額を増やしたからです。

自己資本比率がわずか2%に

 さらに、同社は債務、有利子負債の急拡大が財務状況を圧迫していました。  有利子負債は2016年12月期には14億円だったものが、翌年から25億円(2017年)、52億円(2018年)、82億円(2019年)82億円と増加。  それに伴って、自己資本比率は低下していきました。  2019年12月末時点では自己資本率はわずか2.0%となり、借金まみれ状態に。  一歩間違えれば債務超過に転落するほど低下しています。  借金は企業の成長に必要な側面があるのですが、あまりに急な借金や急拡大は企業にとって、無理を強いていることになるのです。
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借金まみれで頻繁にデートを繰り返す姿との共通点
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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