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大量閉店いきなりステーキ。不調理由は「いきなり」ではなかった!2つの深刻要因

飲食店あるある「600店舗の壁」を早く言いたい!

 いきなりステーキを運営するペッパーフードサービスの店舗数の推移を見ると、いきなりステーキは、2017年の188店舗から2018年に387店舗に急拡大していることがわかります。  さらに、いきなりステーキを含む「ペッパーランチ」「ステーキのくに」などのペッパーフードサービスが運営している店舗数全体の推移も見てみると、グループ全体の店舗数は2017年に655店舗に達していることがわかります。 いきなりステーキ 店舗数 ここで注目して欲しいのが“665”という数値。  飲食チェーンの出店には、昔から「600店舗の壁」と呼ばれる法則があります。  全国600店舗展開に向けてじっくり拡大すればよいものの、成長を急いだあまり、同じチェーン店同士で客を食い合ってしまい成長がストップする法則のことです。

多くの人気チェーンが泣かされた“壁”

 その壁を超えることができれば、コンビニなどのように安定的なチェーン店としてその後定着する一方、600店舗前後で業績が悪化した場合、大幅な規模縮小を強いられます。  この「600店舗の壁」、過去にも多くの人気チェーンが悩まされてきました。  居酒屋「和民」「坐・和民」などを経営するワタミグループは、2014年に系列全店で最大約650店舗を誇ったものの、499店舗まで落ち込みました(2019年11月時点)。  また、全品298円均一がウリの居酒屋「鳥貴族」も2018年11月に679店舗となって以降、緩やかに店舗数が減少。  そしてペッパーフードサービスは、その600店舗の境目を危惧するかのように、株価も2017年10月にピークを付けています。投資家はみな、この「600店舗の壁」を意識していたんですね。  しかし、この「600店舗の壁」には例外もあります。それがコメダ珈琲です。  じっくりと拡大をしてきたコメダ珈琲は600店舗の壁は無事クリアし、1000店舗に迫る現在、海外にその目を向けています。
コメダホールディングス IR資料

出所:コメダホールディングス IR資料 7月14日

 ほかの飲食店はどうでしょうか。  飲食店の好調例として取り上げられていた串カツ田中は7月15日の決算資料では、まだ、292店舗です。まだまだ店舗拡大に余地があります。
串カツ田中 IR資料 

出所:串カツ田中 IR資料 7月15日

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大借金という落とし穴
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経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi

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