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24時間ジム「エニタイム」の店舗数が急増。FCオーナーの“儲けたい心”を虜に

なぜ、エニタイムが強いのか

エニタイムフィットネス ここまで見てみると、なぜ、エニタイムを手掛けるファストフィットネスジャパンだけが高成長を続けることができるのか。気になります。カギは、FC展開、つまり仲間づくりをどうやっていくかです。FC展開のあり方を考えさせられる事例になります。  同社の強みは3つです。 1.新しいマーケットを開拓した 2.FCオーナーが店舗展開しやすい 3.フランチャイズロイヤリティが固定でFCオーナーのモチベーションが高まる  FCというと、FCオーナーは本部から搾取されるイメージがありますが、新しいFCオーナーと本部の関係性を示している企業の1つがファストフィットネスジャパンです。  同社は、今までマーケットとして確立されていなかった、「若い男性・低価格」の層を新規開拓していったことから新しいマーケット・潜在的なマーケットの掘り起こしに成功しています。ただし、フィットネス業界は参入障壁が低いため、新しいマーケットのシェアをいかに早く取ってしまうかが、生命線になります。  そのために、FC店舗数の拡大が鍵を握るわけです。つまり、短期間でたくさんの仲間を集めて、FCオーナーとして店舗を出したいと思う仕組みが必要になります。

エニタイムはFCオーナーにとって魅力的な「ロイヤリティ」

「マシンジム」に特化したことで、初期投資やランニングコストを低く抑えることができます。また、店舗面積も80~120坪が中心の小さい規模で運営できるため損益分岐点を低い店舗モデルとなっています。「24時間」営業にすることで、無人の時間を作り多くの人材を配置しなくても店舗が回る仕組みにもなっています。  そして、何よりフランチャイズのロイヤリティが固定であることです。 「エニタイム」の店舗は、8割以上がフランチャイズで運営されています。FCオーナーが本部にあたるファストフィットネスジャパンに支払う1店舗毎のロイヤリティが「定額・固定」なのです。  会員数の増加に応じてFCの1店舗当たりの収益が比例的に増加する仕組みとなっており、FCオーナーは、自身が運営する店舗の会員数が増えれば増えるほど儲かる仕組みです。  他業種も含め、FC契約の場合、売り上げに応じて、ロイヤリティも上乗せされるケースが少なくない中、会員数を増やす直接的なメリットは、本部ではなくFCオーナーが享受できるようになっています。  FCのオーナーとして儲かることが分かれば、ファストフィットネスジャパンが新しく店舗を出したい場合、何人ものFCオーナーがすぐに手を挙げる状態ができているのです。
馬渕

馬渕磨理子

 店舗急拡大のカラクリは、FCオーナーとファストフィットネスジャパンの両者が手を取り合って成長していく姿にあります。日本でも健康意識の高まりからジムに通う人が増え、筋トレもブームになっていますが、フィットネス参加率は5%に留まります。米国では、フィットネス参加率が20%であることを鑑みても、まだまだ日本でも成長余地のある産業だと言えます。  ただし、企業として成長を加速できるかどうかは、同社のようにFCオーナーと共に豊かになっていく。そのような感覚を持っている企業が次の循環型社会での中心企業になっていくでしょう。<文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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