本日から「倉山満の政局速報」を短期集中連載します。
いったい、日本で何が起きているのか? 日本の政治は、自分たちの生活に関係がある話ですし、コロナ禍では自分たちの人生に直撃するので、可能な限り分かりやすく、最前線の動きを解説したいと思います。
第1回は、
「なぜ菅首相は退陣するのか」です。
総裁選不出馬の会見。9月3日、政府インターネットTVより(C)内閣広報室
総裁選挙で勝つために必要なこと
まず政治のルールを確認しましょう。日本の最高権力者は総理大臣。衆議院の多数に選ばれた人がなります。だから、衆議院議員選挙で勝った政党の党首が総理大臣です。1955年以降、ほとんどは自民党総裁が総理大臣です。
では、自民党総裁はどのようにして選ばれるのか。総裁選挙で勝った人が、総裁です。その
総裁選挙に勝つには、派閥の連合が必要です。
以下、自民党の派閥と人数です。
細田派97人(実態は安倍晋三前首相が領袖)
麻生派54人
竹下派52人
二階派47人
岸田派46人
石破派16人
石原派10人(実態は森山裕国対委員長が領袖)
菅首相も無派閥と言われていますが、30人くらいはいます。
昨年の総裁選挙で、安倍・麻生・竹下・二階・森山の5人が菅支持。圧勝しました。今年の総裁選挙でも5人は支持の構えでした。領袖(親分のこと)が子分に「菅を支持しろ!」と言えば従うのが派閥。
しかし、今回はそうはならなかった。
なぜなら、衆議院選挙が近いからです。いくら親分に命令されても、選挙で受からなければ、その子分でいられない。だから
「菅総理の下では戦えない!」の大合唱。最も結束が固いと言われた二階派でも、まとまりはない。
菅首相はなぜ人気が無いのか? 色々と理由は挙げられても、結局はコロナです。
「尾身先生」切りに失敗した菅首相
前安倍内閣の時から、「なんちゃってゼロコロナ」を続けてきました。本気で「ゼロコロナ」をやる気が無いので「なんちゃって」。
野党やマスコミの批判なんてワンパターンで、前半は「感染が拡大しているぞ!」後半は「経済対策をしっかりしろ!」って、そんなの誰がやっても上手くいくはずがない。菅内閣の支持率が下がるのは理の当然。
菅さん本人も「なんちゃって~」をやめたがっていた。しかし、世論は「尾身先生」支持。単なる医者で政府のアドバイザーにすぎない人間が総理大臣や政府に指図、国民を支配している。そして、その国民の大半が「尾身先生」を支持。
最近は「尾身茂インスタグラム」まではじめた。なんじゃ、そりゃ?
仮に「尾身先生」を切って「なんちゃってゼロコロナ」をやめようとしたら、その瞬間、世論がさらに敵に回ります。きたるべき総選挙で、自民党の大敗は間違いなし。
菅首相、なんとか転換しようとしていましたが、
尾身切りに失敗した訳です。