仕事

「出張シェフ」として脱サラした29歳、半年で最高月収60万円に

登録2ヶ月で軌道に乗り、半年足らずでフリーランスへ

 最初に登録したホームパーティー向けの出張料理サービスでは、主にハレの日の需要が多く、定期的な仕事には結びつかなかったという。  そこで、知人に教えてもらったのが出張シェフサービスの「シェアダイン」だった。 「2020年の11月からシェアダインを始めました。実はこの頃から、フリーランスを目指すために就業先の勤務形態をアルバイトへと変更し、20日ほどの出勤に抑えたんです。残りの時間は全て副業へ充てられるよう、シェアダインでは率先して、自分から仕事を取りにいきました。まずはどのくらい稼げるか試したかったんですよ」  シェアダインにはフリープラン(シェフを指名しない)の予約があり、シェフが立候補できる仕事がある。  福士さんはまずフリープラン中心に、出張シェフとして一歩ずつ現場経験を積んでいったのだ。  幸いにも、利用者がつけるレビューは5段階評価の満点になることが多く、次第に出張シェフとして指名が入ることも増えていったそう。 「2ヶ月目の12月はちょうどクリスマスシーズンで繁忙期だったこともあり、まさに稼ぎどきでした。結果としては、本業の仕事と同等の収入を稼ぐことができたので、出張シェフとしてフリーランスになることへの実感が湧いてきました。  とはいえ、年明けお正月から2月に差し掛かると、飲食業界では閑散期と呼ばれる時期になるので、本当に安定した仕事が入るか様子を伺っていました。案の定、仕事は減らずにむしろ増えていく状況だったので、今年4月に念願のフリーランスとして独立を決心したんです

利用者に合わせた料理を作り、調味料や食材にもこだわる

イタリア料理

福士さんが作ったイタリア料理の写真

 こうしてフリーランスとして独り立ちした福士さんは、単価も6,480円から6,980円、そして10,000円と上げてきたものの、予約数は変わらず維持し続けているという。  新規やリピーターなど、月の大半は予約で埋まるスケジュールで忙しく動く毎日だそうだ。  出張シェフとして働く上では「お客様のライフスタイルに合わせた料理を作ること」を大事にしていると福士さんは語る。 「今までの経験をもとに料理を作るのですが、創作料理みたいなものではなく、タッパーに入れて冷めても美味しく食べられる作り置き料理を提案していますね。また、普段の食卓であまり使わないハーブや調味料を選んで料理に取り入れたり、食材やポーション(大きさ)をシーンによって変えたりして、プロだからこその工夫を凝らしています。  例えばロールキャベツには合いびき肉ではなく鶏肉を、ローストチキンには鶏むね肉ではなく鶏もも肉を使うなど、ちょっと変化をつけるだけでお客様に喜んでもらいやすくなる。レストランでは決まったメニューを毎日作るだけですが、出張シェフはお客様のキッチンで、ニーズに合わせた料理を作っていくため、毎回楽しみながら働いていますね」  また、「お客様と対話できる」のもやりがいを感じる部分だと続ける。 「レストランにいた頃は、キッチンからお客様の様子を遠目では見ていましたが、直接的に話す機会はほとんどありませんでした。他方で出張シェフの場合はお客様宅に伺うので、会話を楽しみながら和気あいあいとした雰囲気のなかで料理できるのが魅力に感じています。ときに子供が作っている料理を口にして『これ、美味しい!』と言ってもらえる場面に遭遇すると、料理人冥利に尽きるというか、モチベーションにもなりますね」
次のページ
出張シェフのロールモデルを目指す
1
2
3
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ